超・個人的感想とラベル表記を関連づけてみよう。(前編) 【2/4】

「やっぱりキミやったんか「まる」!どっかで会ったことあるって思ったわ!」

さて、植田さん、燗酒を出してくださ~い。

香りを味わうリエ

カナ:おー、いい香り!ちょっと待って、燗酒って独特な臭みがあるイメージだったけど、これはまろやか。美味しい!初めてかも、燗酒美味しいと思ったの!

ウエタ:燗酒にする温度帯によって、温度が高すぎるとアルコールがバッと飛ぶからでしょうね…試していただくとわかりますが、40℃とか45℃とか50℃とか、温度によって味わいは全然違いますよ。

アユコ:これって何度ですか?

ウエタ:これで45℃前後の温燗ですね。40から45℃ぐらいの温燗から上燗ぐらいが、味わいが全体的にマイルドになると思います。

アユコ:あまりやらないけど、冬以外でも燗酒楽しめるんですね。

ウエタ:お酒が好きな方って、結構季節を問わず燗酒飲まれますね。

リエ:ああ、なんか出汁の味と合いますね。お蕎麦とか…

ハトミ:なんか、上がりと同じ感覚で飲めそうですね。

カナ:なんか池波正太郎飲みみたいに、焼き海苔とか…あと、うなぎの白焼とかと、日本酒グビっとして食べちゃってさ(笑)

ハトミ:なんか、ホッとします、この和む感じ~

次居酒屋行った時に、「これあったらもう酎ハイ注文しなくていいわ!」ってのはありました?

ハトミ:それはもう1本目です!これまでも日本酒頼んでみたかったんです。でも、慣れてないし、飲んでる途中でちょっとしんどくなってきて、残りは無理やりみたいのは嫌だなと思って遠慮してました。この1本目なら普通の酎ハイと同じように飲めると思います。

ウエタさん、1本目のってアルコール度数ってどれくらいでしたっけ?

ウエタ:5%ぐらいですから、酎ハイと同程度ですよ。はい、ではそろそろ答え合わせしますね。えっと、これが1番目のベッティことで(笑)、2番目のこれが別名ユニクロ、馴染んだ味と連呼された「まる」です。

リエ:1本目、パッケージもカワイイ。

カナ:2本目、おお、「まる」だったんだ!道理で何か馴染んだ味というか「6割ぐらいが会ったことある」感じってなるわ(笑)

ウエタ:3本目が「生貯蔵酒」で、4本目が「特別山田錦」、で5本目が「山田錦」の原酒ですね。

カナ:23の失恋ね…

ウエタ:解説しますと、1本目は「淡雪」という名前。アルコール度数が5%。日本酒の甘さと辛さが分かる日本酒度って数値があり、プラスになると辛口で、マイナスが甘口ですが、それはマイナス58。米と米麹だけで作っているので、お米がもつ甘さなんですよ。酸味も結構あって、酸度が3.2。アミノ酸は1.2です。やや淡麗で甘口のおさけです。小売だと1本450円ぐらいですね。

ちなみに、「淡麗」って、何となくイメージは分かるけど、具体的にはどんな味なんですか?

ウエタ:酸やアミノ酸は旨味に繋がりますが、アミノ酸は多いと旨味が強すぎて、かえって雑味になるんです。なので、雑味がなくスッキリしていると「淡麗」という表現になります。

ハトミ:これ買いたいです。美味しい!名前メモっておかなくちゃ、日本酒って美味しいって思えました。

ウエタ:2本目は「まる」です。アルコール度数が13から14。日本酒度プラス1、酸度1.2、アミノ酸1.1で、中口で淡麗になります。こちらは2リットルパックで大体1000円弱というところでしょうか。

カナ:この、口含んだ瞬間に「ああ、これこれ!」って安定感はどこから来るんでしょうね…

リエ:料理酒っぽいっていうか…最初の印象がまろやかって味がするっていうか…まさに「まる」。

カナ:飲み飽きしないよね、なんだかんだって。なんか飲み放題メニューに入ってるって感じ。

ハトミ:大学の時は、まさにこの「まる」を紙パック1本ドンと持ってきて「これを飲み終わったら今日は終わり」みたいなノリで飲んでました(笑)

ウエタ:そういうお客様に支えられている「まる」です(笑)

リエ:オールマイティな感じがしますね、◯は。冷やしても燗にしても、誰がどんな風にしてもいい。

カナ:コロッケとか串かつだと、淡雪ちゃんは上品で「私どうしたらいいですか?」って、何か受けそびれてる感じがするもんね!

ウエタ:そんなソース系揚げ物組にもお好み焼きにも相性のいい、3本目の「生貯蔵酒」。こちらは「キリッと冴える」というイメージの味に仕上げてます。

リエ:私、ずっと飲んでろって言われたら、これ選ぶかな。何にでも合って、じっくり飲める気がする。

ハトミ:私には3本目と4本目はなんか印象が被ってるというか。違いがよく分からなくなってきました。

日本酒は初心者のハトミ

カナ:3とか4は、ほら私たち失恋で例えてないからさっ(笑)

アユコ:4と5は結構パンチが効いてる感じはするんですが…

ウエタ:ちなみに4、5、6は全部山田錦を使って作ったお酒になっています。説明入れていきますね。3本目の「生貯蔵酒」は、アルコール度数は13から14。日本酒度はプラス2。酸度とアミノ酸は「まる」と同じぐらいですが、やや辛口で淡麗の味わいです。これも、冷やすと冷やさないのとで、味の感じは大分違います。4本目と5本目はどちらも「特別純米酒山田錦」なのですが、5本目は原酒なんですよ。さっき「18とか23歳の失恋」って表現されてたと思いますが、アルコール度数は、4本目の純米酒は14から15で、5本目の原酒が17から20度、強めですね。日本酒度は一緒ですが、4が酸度が1.5アミノ酸値が1.2、原酒の方が酸度が1.9アミノ酸値が1.4で、原酒のほうがいずれの数値が高く、特に酸度が高いので、話に出ていた「ピリピリした感じ」はその辺から来ていると思います。

ウエタさん、原酒って何なんですかね?説明してもらってもいいですか?

ウエタ:原酒っていうのは、お酒って、普通に作るとアルコール度数は20度近くまで上がるんですね。でも、そのままだとキツくて人によっては飲みにくいこともあるので、調整用に割り水って言って、飲みやすいように最後製品にする前に水を加えて、規定の14から15度の度数にもっていくんです。
とはいっても、原酒の全部が全部、度数が20ということではないんです。まずお酒を作るのに、お米の周りに麹菌を生やして米麹を作ります。その糀がデンプンを糖に変える働きをします。で、その出来上がった糖を、今度は酵母が食べてアルコールを作るんですね。なので、糖がアルコールに変われば変わるほど、お酒の中の糖分が減り、結果的に甘さがなくなってドンドン辛くなっていきます。そのあたりの甘い辛いの味のバランスを見ながら、発酵の長さを調整するのでアルコール度数は代わります。ということで、原酒が全部、度数が20のものを薄めているんじゃなくて、例えば淡雪だと淡雪専用の製法があるので、原酒でもおそらく度数は10度超えないと思います。そんなに度数上がらないのであまり薄めない分、量を仕込んでも割りとすぐになくなってしまいますね。

アユコ:度数が上がれば上がるほど、辛口になるっていうことですね。

ウエタ:そうですね、そんな感じです。例えばワインは、ブドウの果実中にある糖だけで発酵していくので、度数が20度とかに中々ならないんですね。しかも、酵母は糖分が高すぎると浸透圧の関係で生きていけなくなるんですよ。ただ、日本酒の場合は、糖化と発酵という二段階の発酵が同時に進むので、酵母が死なずにそれぐらい高くまで度数が上げられるんですね。

カナ:原酒は調整する前ということは、味は荒削りなままってことですか?

ウエタ:原酒でも度数低いものも、割り水しなくてもいいものも沢山あります。特に原酒とラベルに書いてないですけど、実は原酒のものもありますし、色々あります。原酒だから荒削りというより、目標とする酒というか、「こんな味の酒が作りたい」と目指す味に対して、原酒を水で割る必要があるかどうかですかね。

カナ:それじゃ、飲む側にとって、ラベルに原酒って書かれていることの意味合いってなんですか?

ウエタ:そうですね、イメージとしては分かりやすく「力強さ」とかですかね。

アユコ:やっぱり、原酒に近い方がより個性的ってことなんでしょうか。薄めると勿体無いという気もするんですが、やっぱり。

ウエタ:確かに水を薄めると味は薄まります。でも、最初から薄めるのを前提に濃度の高いもの仕込むわけではないんです。単純に薄めて美味しいものができるなら、作る側としては同じ労力を使って作っても、商品としてはよりたくさん出荷できるので楽ですが、実際はそうじゃなくて目指す味に向かってあれこれと試行錯誤があるんです。

カナ:今なんか、やたらと純粋なものほどいいとか、手を加えないほうがいいみたいな「純粋マニア」的になってて、原酒のほうがありがたいとか、純米がありがたいとか、醸造アルコールが入ってないのがいいとか、ひとしきりそういう風潮がある気がしますよね。作り手が飲みやすさを目指して割り水してても、「何か適当に水入れて、カサ増ししてるの?」とか思われちゃう。何か、ほら、温泉に似てるなって(笑)源泉かけ流しみたいな。そのままだと熱すぎて死ぬから適当に薄めないといけないけど、水加えるともったいないとか言われるから冷ましてみちゃう的な。

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「『醸造アルコール』って何のために入れるんですか?」

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