ピソコモド・千住社長に教えてもらう
そもそも、畳ってどういうものなんですか?
私たちがまったく知らない「畳」について、株式会社ピソコモドの千住社長に教えてもらいました。(→株式会社ピソコモド)聞き手は、発行人・湯川カナ。「日本人の畳」のはずなのに初めて聞くことの連続です。なお、たまに、私、にしごやのツッコミが入りますので、ご容赦を。
聞き手:湯川カナ(発行人) 構成:にしごやゆみこ
「みなさんが知っている畳の香りは、実は泥の香りなんですよ」
湯川:私、畳を知らない外国人みたいなもんなんですけど、3分で畳のことを教えていただいてもいいですか? 何でできていて、どうなってるのか。
千住:いいですよ。畳を分解すると大きく3つに分かれます。まず、表面のい草の部分を「畳表(たたみおもて)」と言います。次に、中の芯材、藁でできた部分を畳の床(とこ)、「畳床(たたみどこ)」と呼びます。そして3つ目は両端の2本の「ヘリ」。綿か麻で作ります。
湯川:つまり、畳を作るのに必要なのは、い草と藁と、綿か麻。糸は要ります? 縫う時の。
千住:糸は要ります。昔は麻でした。
(にしごや:畳って、中身まで全部い草が詰まってると思ってた!表面だけだったとは)
千住:基本的に畳って全部自然のもので作るんです。
湯川:畳の表面は、草だったんですね。考えたこともなかった。い草って、農産物なんですか?
千住:はい、農産物ですよ。
湯川:だから、い草の、草っぽい匂いがするんですね。
千住:それがですね、みなさんが知っている畳の香りは、実は泥の香りなんですよ。
湯川:泥? どういうことですか?
千住:ここに、い草と、泥染めした(泥に漬けた)い草があります。
(サンプルを見せていただく)
湯川:くんくん…泥染めしていないのは、干し草っぽい。ハイジのベッドみたい。泥染めしたものは、あ、これ畳の匂いだ!
千住:畳の匂いは、い草と泥の匂いが混ざっているんです。
湯川:今までだまされてた!畳の匂いって思ってたのは泥とい草の匂いだった!どうして泥染めするんですか? なんのために?
千住:現在流通している畳は、99%が泥染めのい草です。泥染めする目的はいくつかあるので、これからお話ししますね。い草は乾燥させて保存するんですが、刈り取るとすぐに、葉緑素が壊れて日焼けが始まるんです。い草ってね、青い方が商品価値が高いんですよ。泥水に漬けて乾燥させると、光を乱反射して日焼けを防止できるんです。
(にしごや:日焼け止め?)
千住:また、一本一本コーティングされるので、い草どうしのくっつき防止にもなります。
(にしごや:トリートメント。さらさらタイプのやつ)

い草の泥染めの様子
千住:しかも、泥によって化粧したみたいになって、ちょっとした傷や色ムラが目立たなくなります。
(にしごや:ファンデーションでもある!)
湯川:泥は、どこの泥でもいいんですか? そのへんの畑の泥とか?
千住:いいえ、なんでもいいわけじゃないんですよ。い草専用の泥水です。広島県の○○山から掘り出した粘土質の泥とか、神戸の●●とか。昔からい草に合う泥があるんです。ちょっと白っぽい、青白っぽい泥。粉末にして、保存しています。
湯川:泥染めのい草は強烈な匂いだけど、泥染めしていない方はソフトな匂いですね。でも、これが畳だと言われれば、たぶん、わかんないと思います。畳と思っちゃう。
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「安い畳は4000~4500本のい草を使いますが、これは6000本以上です」
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