福岡県三潴郡大木町にある「ピソコモド」さんに行ってきました。

そこは「高橋さんち」でした。

早朝の新幹線に神戸から乗り込み、車内販売のお弁当が売り切れで、お腹ペコペコのまま久留米でローカル線に乗り換え、さらに車に揺られてようやく着いた、ピソコモド本社。
私たちが最初に案内されたのは、別棟の社員食堂でした。たくさんの社員さんがお昼ごはんを食べに集まる食堂は、広々としたガラス張りの平屋建て。カウンターに並ぶのは、流行りの、カロリー計算してあってお洒落なスープデリ……とかではなく、アジフライ、オムライス、ハンバーグ。

「ほら、いっぱい食べんば、大きくならんばい!」

お母さんの声が聞こえてきそうな、手のひらいっぱいの大きくて不格好なハンバーグが真ん中にでーんとのったお皿には、目玉焼きと、キャベツの千切りと、たくあんが添えられています。そして、ホカホカ温かな茶碗蒸しと、爽やかな柚子の香りの白菜漬けの小鉢。大きな大きなお釜の白いご飯と、具だくさんお味噌汁は、おかわりし放題。

「いただきまーす」

お味噌汁に口をつけた瞬間、脳天にガツンときました。まさか! 社員食堂で!? いや、たしかに、違いない!!  いま口の中で感じている、ふわっとした油揚げと、ぎゅっとしたワカメの合間に見え隠れする、少し歯応えがあって何度か噛むとほんのり優しい甘さが出てくる、これは……。目視でも再確認。

やっぱり。

それは、キャベツの芯を刻んだものでした。そしてそれは、見た目よりも、「あら、キャベツは芯も美味しかとよ。栄養もいっぱいあるとに、捨てるとはもったいなかとばい」と、ひと手間余計にかけて美味しい一品に活かしきってしまう、「お母さん」のお味噌汁でした。まさか、効率を重視しがちな、だから業者への外注が多い、社員食堂で……。

この社員食堂をもう8年近く切り盛りするのは、高橋さん。みんな、高橋さんの「ほら、いっぱい食べて、頑張りんしゃい!」という思いがつまったお昼ごはんを食べて、仕事をしているんですね。で、外注どころか、いわゆる「食堂のおばちゃん」である高橋さんは、正社員さんなのだそうです。社員さんに美味しいお昼ごはんを用意することも、効率優先で外部に委ねたりしてはいけない、とても大切なお仕事であると、この会社(正確にいうとピソコモドとその親会社イケヒココーポレーション)は考えているのでしょう。

あらためて見渡すと、もう8年くらいという建物ですが、エントランスから広々としたトイレや手洗い場まで、隅々までピカピカに手入れされていて、つい最近できたのではと思ったくらい。とっても清潔です。そこでいただく高橋さんのお昼ごはんは、「安心」以外のなにものでもありませんでした。

そんな会社が、ピソコモドさんです。……で、なにつくってる会社なんだっけ???
(文:湯川カナ)

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