いってる畳屋さんセレクション

超ド級の畳ヲタ。~浅木英生さん~

いってる畳屋さんインタビュー~浅木畳店~

構成・文:にしごやゆみこ

趣味も、気分転換も、畳作り。
「この畳、どこがすごいかわかるかな?」
まるで大きなダンゴムシを見つけた時のうちの息子みたいなキラキラした目で、浅木畳店店主・浅木さんが手にしているのは、小さな畳。まな板程度で、裏表、側面、ぐるーっと全部い草でおおわれてて、つなぎ目がない。

「これは、中つぎ。この真ん中でね、つなぎ合わせるんですよ。い草を一本一本ピンセットで差し込んでね」
―これ、お客さんの注文?
「いや、僕のお楽しみ」

これが中つぎの畳。

全国技能グランプリで第2位というスゴ技の浅木さん、畳作りの仕事の合間の気分転換も、なんと畳作り。休日も自分の好きな畳を作るっていう、年中無休で畳を愛しているひと。

「これも作ってみてんけど、へりの紋を合わせるのに苦労したなぁ。」と、六角形の小さな畳がハチの巣のような見事な工芸畳。もちろんこれも趣味。この絶妙な紋の位置を合わせるのに、霧をふいたりスチームで縮ませたりといろいろなテクを駆使するらしい。

へりの紋を合わせるのに苦労したという畳。

「最近はね、い草も育ててるんですよ」
―お店で作る畳のため?
「いや、遊びで。」(キッパリ!)
―畳の材料も自分で作っちゃうんだ。大変じゃないですか?
「去年は結局、い草は半畳分しかできなかった。半畳じゃ寝ることもでけへん。畳のへりも作ろうとしたんやけど、いや~あれは難しい。でも、一番大変なのは麻糸。10何人がかりで10本くらいしか作れなかった。」

大変とか言いながら、すっごく楽しそう。マコモの束とか、畳のへりコレクションとか、どんどんお店の奥から持ってくる。「これ、畳のへり。綺麗でしょ~? 正倉院と同じ柄でね、奈良をぷらぷらしてたら、偶然見つけてね。分けてもらったんですよ」

休日に趣味で(!)作っているという畳も、ただの畳ではない。「去年はね、江戸時代の畳。当時の作り方でやってみた。今年は、天平時代にさかのぼろうかと。マコモで畳も作ってみたいし、いずれマコモ育ててみたいな」日々の活動をつづったブログ「畳好きのブログ」(←気になる方はこちらをクリック)ではい草の成長も見守れるようだし、今後の作品も要チェック!

「畳は金儲けだけの対象じゃない。」という浅木さん。いい仕事をするのがふつうで、お金優先じゃないのがあたりまえ。心の底から自分のなりわいが楽しくて、仕事だけれど趣味でもあって、こんな人生、幸せだろうな、いいなぁ。すごくチャーミングな笑顔をたくさん見せてくれた浅木さんでした。

浅木畳店
〒661-0953 兵庫県尼崎市東園田町3-30-8
TEL 06-6491-7504 / FAX 06-6491-7504
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