文:湯川カナ
こんにちは、湯川カナです。小4ムスメとふたりぐらしです……あと、ネズミも、カメも。
さて、サロン(居間)の中心に、自然の木がちょっと生えたような、素敵なちゃぶ台がやってきて。昼食が終わって、さあ今日はいよいよ素敵な夕ごはんをつくるぞ! と思ったら、引っ越して5年ではじめて、天井の電気が切れたのでした。今かよ! やるなあ、神様! 寒いのに~!! さすがにAmazonより早いので、近所のケーズデンキに。あ、ここだここだ、丸い蛍光灯。えーっと、いろんな色があるんだね。
昼光色、
昼白色、
電球色 ……
…… 昼光色、昼白色、電球色、oh yeah, 昼光色、昼白色、電球色、oh baby, ちっともわかんね! その場で、グーグル先生にいろいろ聞いてみた。
■ 昼光:青みがかった白で、集中力を高めるので、オフィス・書斎・勉強部屋に。
■ 昼白色:昼の太陽光のような自然な白で、リビングなどに。迷ったらこれを。
■ 電球色:あたたかみのあるオレンジっぽい色。リラックスできるので、寝室やダイニングなどに。
うーん、どうちよう。30分ほど見比べながら悩んだあとに、決めた。そうだ、共同生活者のムスメと相談してみよう。(※そのとき、棚の端の「古い電球を持ってきたら100円引き」という張り紙が目に入ったからでもあります)寒空のなかを、いそいそと家に帰ります。
私:「~というわけで、相談ね。うちのサロン、どう使いたい?」
娘:「ひきこもり!」(※彼女はこの冬、ひきこもりブーム。学校から帰ると家から出ません)
私:「そかそか、パソコンとか読書とかやんなー」
娘:「カナは?」
私:「んーと私はねー、えっと、仕事から戻って、一緒にごはん食べて、で、ゴロゴロしたいかなー」
娘:「ゴロゴロ、最高!」
私:「そうやね、たしかに家でまで集中とかいらんよね。リラックス優先でいこか~!」
というわけで、電球色にすると心を決めて、夕方の街を再びケーズデンキへ。颯爽とオレンジ色の電球色を手に取ったところで、でも、ふと、弱気になりました。念のため、売り場の男性に意見を聞いてみます。
「そうですねー。部屋で読書とか、されます? それなら昼白色が良いかもしれませんよ。電球色は、昼光色の1/4程度の明るさだという話もありますから」
えええええ!!!!!
そこから、またグーグル先生に訊き(部屋の明るさと視力の低下は関係ないという説もあるそう。たしかに欧米の部屋は暗いが日本の方が眼鏡多い!)、ムスメに電話し(「んー、どっちでも。カナに任せるわ! いま忙しいから、じゃね! 」)、そもそもいろんなカラーを好みで変えられるLEDシーリングライトを見てみたり(やっぱり電球交換よりだいぶ高い)、意味なく通りすがりのホットサンドマシンに見入ってハッとしたり、迷いに迷うこと小一時間。
ええい!もしも暗くて読書に適さなくても、そのときはスタンドライトをもってくればいいじゃないか。
やっぱり我が家のサロンは、リラックスしてゴロゴロできるところにすると決める!それで、決意の表情で電球色の箱をレジで差し出し、ぶじに買い終わって、すっかり暗くなった夜道を我が家に帰ったのでした。
帰宅して、「きゃー! 割れそうー! 怖っ!! 」と大騒ぎをしながら、電球ふたつを装着。電気を点けると……。あ! いい感じ~! なんか、あったかーい!! ムスメとふたり、「よかった、よかった」と抱き合ってぴょんぴょん跳ねて喜びました。
やるねえ、神様。部屋の照明をこのタイミングで切らせることで、部屋のコンセプトを再考するきっかけをくれたんでしょう?この、この!
で、夕ごはんは、今日は遅くなっちゃって力尽きたから、昨日の残りのカレーに、スーパーで買ってきたチキンカツだ。コロッケは明日ね。
夜、トチノキの自然なちゃぶ台を、オレンジ色のあたたかな灯りが包みます。我が家のサロンが、少しずつ変わってきました。いいね、いいね。楽しい、楽しい。
「ごはん、できたよー」呼びかけると、ソファベッドで寝袋のなかに入ってウトウトしているムスメのまあるい頬が、真っ赤です。おでこを触ると、ありゃ! 結構な熱だわ。ムスメは一昨日から、インフルエンザで学級閉鎖中。「学校推奨ひきこもりだー!」と喜んでいたけど、まあ、14人も欠席するくらいだから、うつってるよね。「ここで寝たい……」というムスメをそのまま、私が自分の寝室から布団を引きずってきて、ソファベッドの横に並べます。これで、夜中、なんかあってもどんとこいだ!
しかし……寒いなあ……。こんなときにアレがあれば……。ともかく、おやすみなさい~。私も身体を冷やさないようにしなきゃ。
(Vol.4へ続く)
ちなみに、世界的に活躍されているプロダクトデザイナー・スペースデザイナーの千田要宗(せんだとしむね)氏が心地よく暮らすということにフォーカスをあてた~心地よいインテリア「山灯りの世界」~という著書の『ほっとする夜の暮らしのために』の一説にこう書かれてあります。
朝から夕方にかけての光の色合いに自然と敏感になります。朝の光はピンク色、昼の光は白く青い。そして夕方の光はオレンジ色です。
人間工学という新しい学問分野では、光の色合いと生理の関係が研究されています。昼間の白く青い光や、夕方のオレンジ色の光の違いを色温度「K(ケルビン)」という単位で表現できます。それによると昼の白く青い光(5000~6000K)は人を活動的に働かせる作用があり、夕方のオレンジの光(2500~3000K)は安らぎを与えると分析しています。 チロチロと燃える暖炉の火に、安らぎを覚える人は多いと思いますが、この暖炉の火も夕方の光と同じオレンジ色です。
このように白い光にもいろいろな色合いがあり、光の質の違いがあります。白く青い光は仕事をしたり作業をしたりするのに適しています。オレンジ色の光はくつろいだり、本を読んだりするのに適しています。つまりそれぞれの行為に適した、光の質があると言えるのです。
千田要宗著 心地よいインテリア「山灯りの世界」より、一部抜粋。