「世界最高の床材」って聞いたけど。

文:原かおる

畳生活51年。生まれてから今日まで「畳」は、わたしにとって身近な存在。
あまりにも身近すぎて「畳」について考えたことがなかった。が、人生初「畳」について考える日がきたのである。

先日「畳」の記事にお目通し頂きたく、コミューン99に伺った。
記事の内容は、和室(畳部屋)にマナーがあることは知っている。が、正座が苦手で横座りか胡坐。ただ、子どもの頃の夕食は「正座」。足を崩すと「女だてら」にと父に叱られた。田舎の家はたいていが畳。
だが、高齢のお家に招かれていくと「膝の調子が悪くて」と、畳に椅子を置いて座っている。
膝の療養に九州の温泉宿へ「湯治」にいった。と、話してくれた。わたしも一年と数ヶ月前に階段から落ちて、左膝を打ちつけた痛みが今もまだ残っている。九州にはいけないけど、近場で日帰り温泉「湯治もどき」に、いくことにした。「春欄荘」小さな浴槽の天然ラドン温泉、熱いお湯は芯まであったまり血行がよくなりそうだ、湯上りは畳の椅子で一休み、汗がひいたら畳にゴロンと横になろう。

編集長からのフィードバックは「ひらく、その先になにがあるのか」と!

帰り道「ひらく」が頭から離れない・・・
帰りのバスの時間は16時。
バスを待つ間、神戸(そごう)デパートに立ち寄った。
6階ギフトコーナーに行きたかったので、エスカレーターで上がるや否や目が合って引き寄せられた。
イベントスペースで「畳の販売」。
不思議な偶然。
日本酒と同じく「畳」を引き寄せている。
立ち止まって話を聞くことにした。
イベントスペースには、わたし一人。
「畳」についてレクチャーがはじまった。まずは、畳の値段の差について、次に中国産と国産との違い。畳の歴史について。最後には畳の縁で作った商品の説明。そして、にっこり笑顔で「畳、新しくしませんか?」と、畳の貼り替えや新調はいまのところ。と、伝えると、わたしの目の前で畳の縁を利用した500円玉ぐらいの大きさの小物を作って、かばんに取り付けてくれた「これもなにかの縁」と、いって。
学校の授業を受けている感じがした。
失礼な質問だと思ったが「何が一番いいたいのですか?」。と、聞いてみた。
「世界最高の床材」。と、即答してくれた。
わたしは、お礼をいって立ち去った。

「世界最高の床材」は、グローバルすぎるなぁ。

我が家の「畳」は、い草の匂いもしないし、日に焼けて黄色く色が変わっている。畳部屋は食堂と寝室を兼ねている。座卓を置けば食卓に、布団を敷けば寝室にもなる。わたしにとって畳は、「世界最高の床材」より、慣れ親しんだ「日本古来の床材」のほうが落ち着
く。
生まれて今日まで畳生活は、あまりにも身近で当たり前になっている。ありがたいなんて思ったことがなかった。いっそ失った時に初めて「畳」の良さに気付くのかもしれない、と思った。

編集長から「ひらく、その先になにがあるのか」と!の問いにかなり時間がかかったが、やっと答えらしきものが、なんだか不思議な気持ちだが「畳」が気付かせてくれたのだ。

執筆者プロフィール

原かおる(淡路島在住・1967年生まれ)
原かおる(淡路島在住・1967年生まれ)
書くこと歩くことが好き、神戸から大阪まで歩いたのが最高記録。