湯川宅・リビング→サロン計画

Vol.2 素敵なちゃぶ台を探せ!

こんにちは、湯川カナです。小4ムスメとふたりぐらしです……あと、ネズミも。

家の中心は、サロン(居間)のテレビの向かい、ソファの手前に置いた、センターテーブル。ごはんを食べるのも、ノートパソコンをひろげて仕事をするのも、ムスメの宿題を見るのも、ここ。いまはIKEAで買った幅150センチの大きなやつで、好きなのだけど、あいにく高さが絶望的に合わない!スカンディナビアのひとの座高に合わせているのかしら?というか、スウェーデンで、床に座ってごはん食べたり、仕事したり、しないものね。

ともかく、私たちには、あいにく、ちょっと高い。ごはんのとき、ふと隣を見ると、ムスメが汁椀を持たずに、ずるずるっと犬みたいにすすったりしている(※犬はなめるけどすすりません)。そんなとき、自分のしつけとかはさておき、「んー、これはテーブルが高いせいに違いない」と思い続けて5年間。

高さがぴったりの、ちゃぶ台がほしーい!

それは、切実な願いだったのでした。というわけで、座族・日本人の高さに合わせて誕生したであろうちゃぶ台にしようと、ニトリやベルメゾンや、それからいろんなショッピングサイトを見たのだけど……。なんというか、しっくりくるのがありません。

我が家は、賃貸住宅です。たぶんいつか、引っ越すでしょう。私が育ってきたような「帰ればいつでも柱に傷が残っている田舎の家」は、つくれません。もちろん、ムスメと過ごす時間こそが、かけがえのない思い出。ただそこに、一緒に思い出せる、リアルな質感や匂いや厚みがあるちゃぶ台があるといいなあと、今回思って、生まれて初めて家具にこだわってみたのでした。

こうなれば、つくるしかない!連絡したのは、六甲・摩耶山の間伐材活用プロジェクトを通じて知り合った、ヤマサキマサオさん。国産木材のウッドデザイン製品を提案する「SHARE WOODS」代表のヤマサキさんは、いま山から出てきたっぽいホワーンとした笑顔で、「はーい、いーですよー」とふたつ返事でOK。提案があったなかのひとつが、国産のトチノキの、分厚い一枚板でした。覆われていたカバーを外すと、おお! 全面に、古い世界地図みたいな素敵な模様が入っています。なにこれなにこれ???

「スポルテッドといって、菌なんですよ。菌が自然につくった模様なんですよねー。いいでしょ?」
うん。すごくいい。そして、触ると、すべすべで、なんというか本当にあたたかくて。なんだかとっても落ち着くので、ずーっと、すべすべさわさわ、さすってしまいます。これが、「自然」の、優しさなのかなあ。家具を選ぶときには初めての感覚……そう、むしろ、山でサルスベリかなんかの幹を触っているときのような感覚です。そんな一目惚れの木材と、実際に座ってみながら決めた高さで、ちゃぶ台が完成!

ジャーン!!

ねえねえ、ここに置くと、いつものごはんが、ほら、とっても美味しそう~! サロンにいるとき、視界にいつも、自然が描いた優しいスポルテッドの模様と、生えていたままの木の皮の柔らかな線があります。わあい、毎日が、ちょっと楽しくなる~♪「これ、大事に大事に毎日使って、お嫁入り道具にしますね……私の!」高さを決めるところまで根気強くつきあってくれたヤマサキさん、本当にありがとうございました~!!

さあて今夜は、我が家の「幸せな食卓」の象徴・コロッケにしよう。とウキウキ立ち上がったところで……ん? 電気がチカチカ、パッ。あら、つかない。あらあら。電球、切れちゃった。

しゃーないなー。幸い近所にある電気店に行って、湯川は立ち尽くすのでした。……えええ!! そんなん聞いてない! どうちよう!!

(Vol.3へ続く)

ヤマサキマサオさん(シェアウッズ代表)/1970年生まれ。森林とまちをデザインでつなげるひと。間伐材をつかって、楽器「カホン」やまあるく可愛い「六甲の木のたまご」を作ろう!と呼びかけては、まちのひとが森に思いを馳せるきっかけを生み出す。2017年、神戸の舟大工工房「マルナカ工作所」を引き継ぐことに。ふわっとした笑顔で、森林とあなたをシェアし続けます♪
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