ゲリラゴザ vol.03 ー 冬、鳥取砂丘にて。ー

 文:やすかわのりこ

『虹を見たかい?』

砂丘に向かって歩く観光客の群れ。
頭上では、まるで昔話のように潮風と太陽の退屈しのぎのゲームが始まっている。
おふざけがばれないよう暗幕を張った空、したたかな冬の太陽が地上を照らす、出番を間違えた雨と虹を、身を切るような風の中で私は見ていた。

「世界の果てにきちゃったみたい」

絶望的で美しかった。

熱いコーヒーが飲みたくなって売店に向かう。
手渡された砂丘コーヒーは、冷えた体を温めることができなかった。

「バイバイ、鳥取。家に帰んなくちゃ。」

車窓から見えたのは、いつもと変わらない安定したクオリティと安心を提供してくれるお店。
そう、どこに行ってもね。みんなの?いや、世界中の。
そういうのもありがたいんだけどさ。窓際で、いつもの味を楽しむあなた。

今日のアレ、虹を見たかい?


※砂丘珈琲…鳥取砂丘の砂で高温焙煎した豆を使ったコーヒー。他にもこの豆を使ったお土産があり、個人的には砂丘珈琲サブレが好き(編集部のお土産にしました)。

執筆者プロフィール

やすかわのりこ(三木市在住・1973年生まれ)
やすかわのりこ(三木市在住・1973年生まれ)
趣味も特技も特になし。そんな私も20代は「歌で飯食う!」って決めてました。ライブ明けの帰り道、都会のネオンを見送りながら、「脱・田舎!」と心に誓い、ソフトな家出から大阪に流れ着きました。音信不通だったためフラリと実家に立ち寄ると、あるはずの自宅はなく、足元に広がった更地に言葉もなく立ち尽くす。なんてこともありました。笑