イベントレビュー

日本酒カクテルで乾杯。農家さんと話してみよう!~みんなの白鶴御影校~

文:やすかわのりこ 写真:岡田敏和

若者の日本酒離れ? 農離れ? 大学生2人組が白鶴御影校で、農家さんと大学生とで囲む美酒鍋パーティーを開催。

1)出汁の入った鍋に日本酒を丸々1本投入、この豪快さに会場がざわめいた。 2)美酒鍋をつくる工程もイベントの意図したところ。 3)篠山からやってきた野菜はどれも新鮮でおいしかった。 4)野菜を持ってきてくださったゲストの皆さん。(左から、農業を営むオグラさんとオジマさん、実家が農家のオグラさんとイシダさん) 5)「兵庫県には世界一のものが3つあると言われています。黒豆、栗、和牛。そのすべてが篠山産なんです」とオジマさん。 6)お酒のアルコールをとばす間に、大葉の入った日本酒カクテルで乾杯! 7)当日も会場で様子を見守られた、白鶴酒造の植田さん(前側・左)と西田さん(後側・右)。大学生のお酒のギモンに直接応える場面も。 8)お鍋をたのしむ姿があちらこちらで。見ているこっちがホッとしてくる。 9・10)日本酒カクテルを飲んで興味が湧いたのか、カウンターのまわりに人が溢れかえっていた。カクテルをつくるのは、バーテンダー経験がある主催者のひとり・サヒナイさん。 11〜13)次回の「みんなの白鶴御影校」でダンスパーティーを開く「Kobe Swing Kids」のマークさんとルーシーさんが、スウィングダンスを披露してくれた。
(左)テラカワさん (右)クロイシさん。日本酒は普段から飲むクロイシさんだが、ふたりとも日本酒カクテルは初めてだそう。
農業に興味があるイイオさん。「日本酒になじみがないので、今日はたのしみ」
ヤマネさんは、日本酒を飲み会で少し飲んだことがあるものの、ウッとくるのが苦手とか。
カクテルにすることで日本酒の飲みやすさに期待していたタナカさん。
「おいしかったけど、使うお酒の量におどろいた」と、美酒鍋初体験のフクシマさん。
とても陽気なカワナカさん。「実際に農業をやっているひとと交流できてよかった」
トモナリさんの笑顔の理由は、初めて飲んだ日本酒がおいしかったから。
アマガさんは「初対面で鍋を囲んでお酒を飲むってすごくたのしい!」と。
ほろ酔い笑顔のキムラさん、イベントを存分に満喫できたよう。

その顔は、お鍋の湯気みたいにほわほわとしていた。

若者の日本酒離れ。今回のイベントで日本酒が苦手という学生に共通の言葉を見つけた。「ゔっ、と来る」。恐らくアルコールがのどを締め付ける様なイメージだ。きつくて、強くて、進まない、これが彼らの言う敷居の高さか。食の成り立ちとは。SNS上に『映えるランチ』の写真をこぞって上げる一方で、コンビニ弁当や、スーパーに並ぶ野菜をなんとなく手に取る日常。これに年齢は、関係ないように思う。

イベント終了時間は、予定を大きく超えた。イベント中、団子になったり散らばったり、楽しいと声を上げる人たちに共通の言葉を見つけた。「お酒のアレもありますけど…」苦手だった日本酒の力で、楽しくなってしまったようだ。

「農業と全く関わりは無いけれど、普段消費しているものの生産背景を知りたいなと常々思っていたので、貴重な機会だなって。日本酒の知識を直接訊きながら美味しさを味わって。農家さんの顔を見ながら食べて、この人がこんな思いで作ったんだって。普段生活していると安さやお買い得品って理由で選んでしまうけれど、その裏には生産者の思いやご苦労があって、私の消費行動が在るので、そこを知りながら消費行動の取捨選択ができたらいいな。今日はすごく楽しいです」。このコメントは、完璧すぎるように聞こえるけど、話している彼女の表情は、お鍋の湯気みたいにほわほわしていて、本当にそんな事を考えているように思えた。

農家のオグラさんは、「若い人たちが、どう思っているのかを知りたい」と言っていた。「学生からたくさん質問を受け、たくさん話も聞いてくれたので良かった」と満面の笑みが教えてくれる。「実際の食を目の前に、お話も聞きながら食べることで、五感を使って農業を実感できる時間だった」と話す男子学生が、帰り際に「お酒の力もあるけど、農家さん、イベント主催者の方、それぞれが通う学校も、分け隔てなく打ち解け合えたのが楽しかったな」ともらした。本当にそうだったね。そして、私も顔の見える生産者の一人だと気付かされた。

乾杯で飲んだ日本酒カクテルは、日本酒を飲むならストレート派の私が『ガツン』とやられた一杯だった。
余興も何もない、ここにあるだけの材料で作った『顔の見える宴』は、極旨だった。

《About》
イベント名:農家さんちの鍋を食べよう!〜美酒鍋と日本酒カクテル〜 日時:2018年12月5日(水)17:00〜19:00 場所:白鶴御影校(白鶴酒造資料館) 参加者:約30名 主催:名前はまだない(佐比内優太・佐々木将人) 応援:白鶴酒造株式会社《Topics》
▶︎ 名前はまだない
ホテルのバーなどでバーテンダーの経験を積み、カクテルを入り口に日本酒をたのしんでもらう機会をつくりたいと意気込む佐比内優太さん(神戸大学)と、まちづくりプロジェクトでの自身の活動から、思いをもって野菜をつくっている農家さんと都市部の若者との接点をつくりたいと語る佐々木将人さん(関西学院大学)のペア。

▶︎ 篠山市後川の野菜
当日、美酒鍋でつかわれた野菜のほとんどが兵庫県篠山でつくられたもの。白菜には虫食いの穴が見られるが、それが無農薬で育てられた証。
主催者・佐々木さんとの地域プロジェクトでの縁から野菜をお持ちくださった、ゲストの小倉さんと小嶋さん。お二人とも、篠山市後川(篠山市のなかでも過疎化のエリア。大型農家による大規模なコメ栽培が進められている一方で、僻地にある農地には手が入らず耕作放棄地になってしまっている現状も)で農業を営んでいる。

小倉義之さん( 丹波ささやま【小倉屋】 / 手作りスイーツ【FOGMOG】
米・黒枝豆・黒豆を主に生産。結婚をきっかけにUターンして農家を継いで5年目。現在は、奥様と黒豆をつかったスイーツなども手がけている。

小嶋誠さん
冬はほうれん草、夏にトマトを主に生産。兼業農家に生まれ育ち、農業をやりたかったが親の命で外に修行へ、そして現在に至る。小嶋さんの野菜は「JA丹波ささやま 味土里館(兵庫県篠山市東吹942-1)」にて購入可能。

▶︎ 美酒鍋
広島県西条の酒蔵で蔵人たちのまかない料理から広まった鍋料理。日本酒と塩こしょうだけで味付けするのが本来だが、今回は未成年も安心しておいしく鍋を囲めるよう、お酒を昆布だしで割って煮たたせていた。
以前、DEMOくらし編集部でも同じように昆布だしアレンジの美酒鍋を体験。つくり方などはこちらの記事「大人もこどもも日本酒だ〜!」をご覧ください。

▶︎ 日本酒カクテル
当日は、5種類のオリジナルカクテルがふるまわれた。(大葉+トニックウォーター+シロップ+白鶴大吟醸 / グレープフルーツジュース+白鶴大吟醸 / キウィ+シロップ+白鶴大吟醸 / キウィ+甘酒+白鶴山田錦 / 甘酒+カシスシロップ+カルピス)

みんなの白鶴御影校
− 地域の皆さんの「やってみたい!」を、酒蔵で −
江戸幕府第8代将軍吉宗の時代からずっと、日本一の酒処・灘五郷の地で「時をこえ 親しみの心をおくる」お酒造りを続けてきた白鶴酒造。白鶴酒造が大切にしてきた酒蔵(白鶴酒造資料館)と日本酒を地域の皆さんに提供し、活動を応援するプロジェクトが《みんなの白鶴御影校》です。

2018年度はオーディションの結果、今回の「名前はまだない」に続き、2月22日(金)に「Kobe Swing Kids」がスィングダンスパーティーを、3月22日(金)に「さくらムジカオーケストラ」がこどもも参加OKなコンサートを開催予定。イベント目次ページにて順次お知らせしていきます。

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