日本酒 女だらけの飲んじゃえ座談会・スピンオフ企画

男だって語りたい!

聞き手:桂知秋 画像制作:川本まい

「『大吟醸』とか『山廃』とかよくわからないけど、ラベルとか無視して何も考えず飲んでみよう」と、日本酒の初心者から上級者の女子が集まって、「オンナだらけの飲んじゃえ座談会」を開催したのが2018年。まさかの(?)日本酒の味を恋愛に例えるトークで大いに盛り上がりました。あれから4年。「オンナ」があるなら「オトコ」も聞いてみたい。というわけで、女子たちが恋になぞらえた日本酒をピックアップして、同じお酒を飲みながら語っていただきました。もちろん、恋になぞらえて。

*「オンナだらけの飲んじゃえ座談会」より一部会話をピックアップして載せています。登場人物や会話詳細についてはこちらをご覧ください。

語ってくれた人:

加藤伸一さん。編集部のある会社で秘書兼総務を担当。編集部をいつも傍らで見守る存在。日本酒を取り寄せては毎日SNSに感想をアップしていたほど、日本酒好き。

一瞬で好きになる感じ。

「オンナだらけの座談会」より

飲んだお酒:白鶴 大吟醸

「やっと気づいた、本当の気持ち!」

ハトミ:わーっ、なんですか、これ!フルーティです!私、今までメニューとかに「フルーティな味わい」って書いてあったら、「フルーティなってなんやねん?」って思ってたんですが、これですね、フルーティ!

カナ:言葉だけは知ってる感じ…「恋って何かしら?」って思ってて、そうか今この状態のことか!って気づいた感じ?

アユコ:やっと気づいた、本当の気持ちを!みたいなかんじですね ( 笑 )。

加藤談:ああ、これはじわじわ好きになるんじゃなくて、かわいいから一瞬で好きになる、っていう感じですね!よほど辛口が好きとかでなければ、誰もが「好き」って言いそうな感じ

雑味がなくて、わりと幅広い年代層、しかも男女問わず好かれそう。日本酒好きの仲間で集まると、芸能人に例えて話すことが多いのですが、これはどうかなあ。うーん、「石原さとみ」かなあ。けれんみがなくてすごくきらきらしていて素敵な女性!

小悪魔に一度ははまっちゃう。

「オンナだらけの座談会」より

飲んだお酒:上撰 白鶴 純米にごり酒さゆり

「それは旅先で見た幻想よ(笑)」

カナ:なんか、包み込んでくれる優しさみたいな ( 笑 )

ハトミ:ちょっと結婚を意識した、家庭の優しさみたいな ( 笑 ) 

カナ:それはね、旅先でみた幻想よ ( 笑 )

ハトミ:後で「やっぱり違う」ってなるんですね ( 笑 )

加藤談:なんだろうこの味、、、日本酒っぽくないというか。うわあ、こういうのが難しいです、例えたり表現するのは。日本酒が得意じゃない方でも飲める、でも僕みたいな日本酒好きも気になって飲んじゃう、みたいな。こういうのが怖いんですよね、一本飲んじゃうと、めちゃくちゃ酔っぱらってる、、、!やられた、、、!ってなる(笑)。

まさに小悪魔的というか、、、。いやでも、悪い感じはしなくて、素直な感じなんですよね。クラスにもいましたよね、派手さはなくて自分を出すタイプではないけど、なんか気になる、みたいな。

そういう人に誰でも一度ははまっちゃうんだよなあ。その人自体は悪くなくって、はまった自分が悪い。さゆりについて、どんどん語れそうな自分が怖いです(笑)。そういうところがもうはまっちゃってますよね(笑)。

「明日も会えるかな?」じゃなくて「明日も会える」安心感。

「オンナだらけの座談会」より

飲んだお酒:白鶴 純米古酒

「45歳の“もう一度の恋”みたいな」

ハトミ:この味って 45 歳のもう一度の恋みたいな ( 笑 ) 失恋じゃないですよね、どっちでもいいわ、楽しく生きようみたいな ( 笑 ) 。私はまだ乗りこなせない感じです。もうちょっと人生経験要ります ( 笑 )

加藤談:これは好きな人は好き、っていう感じですね。「これも日本酒だよなあ」って違う世界が見られるようになってきた頃というか。

「さゆり」の頃の自分を吹っ切って「自分はこう」って軸がある恋愛。誰に嫌われてもいいし、好きなやつだけ好きっていってくれたらいい、みたいなね。好いた惚れたじゃない、もう恋愛と別物、っていう感じですよね。最近こういうお酒もだんだん飲みたくなりますね。歳とってきたっていうことかもしれないけど。

付き合ってすぐの、アツアツの感じあるじゃないですか。さっき会ったばかりなのに電話する、みたいな。そういうのはないけど「安心感」ですよね。「明日会えるかな?」じゃなくて「明日も会う」信頼。最近それもいいなあと。そういう意味ではこのお酒、そんな感じですよね。

安心感とドキドキが一緒にある、付き合って一番いい時期(笑)

「オンナだらけの座談会」より

飲んだお酒:白鶴 特別純米原酒 蔵酒

「ちょっと結婚を考えた、23の失恋」

カナ:この苦味…なんか 23 ぐらいの失恋だよね ( 笑 ) 高校大学と卒業して OL になった後、ちょっと結婚考えたような 23 の失恋!

アユコ:全力出していって、終わって、振り返るとピリっとするみたいな ( 笑 )

加藤談:甘いんだけど、コシがある。米の旨味があって、ふくよかですごく好きです。僕的には「23歳」よりは上、30代半ばかな(笑)。それこそ一緒に日本酒を飲みたい関係。原酒ならではの酸味もあるし、後味のまろやかさもあるし、すごくバランスがいい!安心感とドキドキが一緒にある

対面のテーブルじゃなくてカウンターで一緒に飲める、近い距離感でありながらドキドキする。付き合って一番いい時期(笑)。これきっと熱燗でもいいんじゃないかな。そう思わせる余白がありますね。

正真正銘、高嶺の花。

 「オンナだらけの座談会」より

飲んだお酒:白鶴 金賞受賞酒 白鶴錦

*「金賞受賞酒」は金賞を受賞した年に発売されるお酒なので座談会当日と全く同じものではありません。

「隣の部署のオトコマエ」

ハトミ:イケメンな味ですね。イケメン過ぎて付き合いたくないけど、眺めるにはいいみたいな。

リエ:隣の部署のオトコマエみたいにちょっと距離がある。普段は全然接点ないけど、書類とか持って隣の課に行った時に目に入るぐらいの。

加藤談:蓋を開けた瞬間から、精米歩合40以下のお酒の香りがしてますね。これはもう香りだけでなんかすごい感じです、、、、(笑)。自分の美貌もわかってるし、ちゃんと自分磨きもしてるし、洗練されていて、立ち振る舞いがとてもきれい。まさに「高嶺の花」。

なのに「私なんて」とか絶対へりくだらないんですよね。行きつけの居酒屋に飲みに誘っても、社交辞令じゃなくても喜んでくれそうな。全方位的でスキがないけどスキがある。心から好き、って言える感じです。

でも、毎日だったら飽きてくるかもなあ。そもそも僕には手出せないだろうけど(笑)。

やっぱり付き合うなら、熱燗してみようかなあとか思える、余白のある「蔵酒」かも。恋愛の相手によって変わる余白も少しはいいなあって思います。


〜アフタートーク〜

加藤:これやってると自分の恋愛歴も考えちゃいましたね。一目惚れの恋愛をして、小悪魔に一度ははまり、高嶺の花に憧れつつも、安心感と余白の大切さを感じながら良きパートナーを得て、いつかは好いた惚れたの世界からも離れた異次元へ、みたいなね(笑)。

桂:最初の一本を語り始めてから、もう2時間が経とうとしています(笑)。

加藤:はい(笑)。どうしてこんなにずっとしゃべれるんですかね。これは僕の感覚ですが、恋愛話と日本酒って両方ともずっと続けられるんですよね。男女は深い溝がある。日本酒もこれが一番、っていう正解はない。だからずっと語れちゃうんですよね。結論がでてしまうとそこで終わってしまうから。