インタビュー・構成：橋本莉緒
変遷はする、でも、酒処の変わらないなにかがある。エモい日本名所酒処ハシゴ旅（広島・西条／兵庫・神戸）
紹介してくれた「日本酒通」
山﨑友輔 (Mr.SAKE JAPAN)
日本三大酒処の広島県西条市出身。2022年7月Mr .SAKE JAPAN（*）へ就任。現在は東京で日本酒ベースのカクテルコーディネーターとして活躍中。大学在学中は、「若者に日本酒を伝えたい」想いを胸に、「甲南大学日本酒研究会」を立ち上げ全日本学生日本酒連盟の代表に。在学中に剣菱酒造にて蔵人も経験している。
https://twitter.com/yawaragi___mizu
※Mr.SAKE JAPANとは日本酒と日本文化の魅力を日本国内外に発信する目的で、日本酒を誰よりも愛する選び抜かれた男子
西条酒蔵通りでは昔ながらのなまこ壁の風景のなか、徒歩圏内に7つの蔵が立ち並ぶ。
旅の行程
10:00 新神戸駅から新幹線で東広島へ。
12:00 東広島駅到着。芸陽バスに揺られ西条へ。
12:30 西条駅到着。神戸から2時間半で来れる、日本三大酒どころのひとつ。いわゆる美観地区のような、なまこ壁の風景がすぐそこに広がってる。
12:40 西條くぐり門珈琲店でランチ。西条酒蔵通りの入口「くぐり門」で営業する古民家カフェ。日本酒の仕込み水で淹れたコーヒーや酒粕チーズトーストを味わう。
13:30 西条酒蔵通り 蔵巡り。酒蔵通りにある蔵を巡りながら昼呑み。試飲や簡単なおつまみを嗜み、観光もできる。
18:00 蔵処 樽で地元の酒を味わいながら美酒鍋と牡蠣を満喫。地方のお祭り感があるプレハブ小屋。ポップに美酒鍋を堪能できる。一人前から食べられる美酒鍋御膳は一人旅におすすめ。
21:00 駅周辺のホテルに宿泊。 西条のご飯と西条酒の余韻のまま駅近で就寝。
09:20 西条を出発。東広島駅へ向かう。酒スイーツはお土産や自分のためにちょい食べ用を購入。西条駅前に本店があるさくらやの「酒粕入り樽最中」がおすすめ！
10:00 東広島駅。新幹線で新神戸まで。お土産店に売っている香木堂の「酒粕かりんとう」で西条酒を振り返りつつ神戸へ。
12:00 新神戸駅。三宮へ向かい、阪神電車に乗る。阪神御影駅へ。
12:30 灘五郷酒所で、灘五郷26蔵のすべての日本酒蔵のお酒が飲み比べできる品揃え。気になる酒蔵を探す。灘五郷酒所は剣菱酒造の酒蔵を改装し、2022年４月にオープン。長いコの字のカウンターを囲み、日本酒と相性の良い美味しいお料理と一緒に。
14:30 気になった酒蔵エリアへ。灘五郷（26の蔵元）はすべて阪神電車沿線に所在している。僕のおすすめは、「仙介」で有名な泉酒造（阪神石屋川駅から徒歩10分）。直売場兼蔵の古い建物の中で優しい蔵元さん方から試飲させてもらって、それがまぁ、すごく美味しくて。
※現在は改装されています。
19:00 魚崎駅から降りてすぐに住吉川に着く。住吉川沿いを酔いに浸り、ゆっくりと北へ歩く。5月中旬〜6月上旬には上流（白鶴美術館周辺）の滝がぱ〜っと落ちている場所で蛍を見ることができる。
山﨑さんによる解説
神戸に進学し、御影に住んでいたあの頃は、蔵巡りをして、試飲をし、酒屋さんに行って角打ちをしていました。角打ちに御影駅から近い「美よ志」へよく行ってたら「えらい若いもんがお酒呑みよるの〜」と可愛がってくれて。数少ない剣菱酒造の特約店だったため、剣菱をひたすら呑んでましたね。剣菱酒造で蔵人をしていたためか、剣菱が、結局なんか最後飲むと落ち着くんですよ。
地元西条は盆地で西条「町」なので規模がミニマムな土地。参勤交代の宿場町の通り道でもあり、湧水、仕込み水の関係で井戸がそこに集中していた立地のため酒蔵が街に密接で。西条名物の美酒鍋は西条の賀茂鶴酒造の蔵人が始めたのが発祥と言われ、具材がびっしょり浸かるくらいたくさんお酒を入れるからや、蔵人がびしょびしょになりながら働いた後に食べたから美酒鍋（びしょなべ）とも言われるらしい。僕は今でも鍋にお酒を入れる習慣があります。
エモさって僕は、よくも悪くもくっさいところだと思っていて。酔った時って情熱的な話をしたり、最後には「グッとくる」言葉がかけあえるんですよ。そういう、ゆっくり語り合いつつ、日本酒にも酔えて、人間くさく、文化や歴史を感じる旅にエモさを感じます。だから、地元密着型の酒どころの西条と、日本でも大きい酒どころとして引っ張ってきた灘を一泊二日でハシゴできるって贅沢で、それぞれちがった酒処の地域や文化を感じられてエモいなぁ、と。
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