「冬の山頂で熱燗は美味しいのか?」を検証してみた。

写真・文:中埜久仁子

登山の後、山頂で飲むビールは最高だ。しかし、さすがに冬になると冷たいビールは飲みたくなくなる。「冬の山頂では、熱い日本酒がおいしいはず」そんな幻想にとりつかれ、今回、検証してみることにした。

1ページ目:準備編(ルート計画・荷物・お酒)
2ページ目:当日編(登山・いざ熱燗)
3ページ目:「白鶴 山の会」さんがアドバイスをくださいました。 他

準備編

準備①《ルート計画》 記念碑台は、小さいコンロならOKらしい。

登山を始めたばかりの私には、一人での登山は危険行為。同伴者は、①お酒が好き、②人の少ない平日に動ける、③私と同レベル以上の登山経験者。上記の条件を満たさなければならない。そういう理由もあり、同伴者は夫に決めた。夫は、私のバカバカしい企画に、いつも本気で付き合ってくれる。

熱燗の実施場所は、水道設備やトイレ、ベンチがある六甲山の記念碑台に決めた。記念碑台を管理するビジターセンターに問合せしたところ、「小さいコンロなら使ってもよい」との返事。

登山のルートは、夫が情報収集して決めた。鉄道会社に従事しており、早朝勤務明けの集合だ。夫と合流しやすい神鉄「大池」駅から地獄谷西尾根→水晶山→ダイヤモンドポイント→記念碑台のルートに決めた。

準備②《荷物》 お酒と熱燗の機材をどうやって運ぼうか。

夫は夜勤&早朝勤務後の合流となるので、前日にほとんどの荷物を会社経由で運ぶという。
当初、夫からは、「お酒は1本でよいのではないか?」と提案があった。
私は、お酒を2本持って行きたかった。なぜなら、サンプルが1種類では「冬の山頂に熱燗が合うのか合わないのか?」検証できないのではないかと不安になったからだ。検証するなら複数のサンプルが必要ではないのか? 酒屋さんで薦めていただいた日本酒(後述)は、1本は常温販売であったが、もう1本は冷蔵保存で、女将さんが言うには「冷でも飲めるし、火入れしているので、熱燗もよい」とのこと。それなら冷蔵状態で運び、冷酒でも試飲してみたい。
私のたわごとを夫が受け入れ(夫も呑兵衛だから)、夫が片方は4合瓶のまま運び、私がもう片方を小分けして冷蔵状態で運搬することに決まった。


  • 【熱燗の機材】
    コンロセットと鍋セット、それにこの日のために道具屋筋で購入した、酒タンポに決めた。
    ※参考(価格)
    SOTOコンロセット:9800円(amazon)/コールマン鍋セット:5400円(amazon)/酒タンポ(1合):500円くらい(道具屋筋のえびす屋)

  • 【小分けした酒の運搬】
    「冷やでも熱燗でも」と酒屋ですすめてもらったお酒はウイスキーボトルに入れて、保冷バッグで運ぶことに。前日の夜に小分け作業を行う。

  • 【チタン製のお猪口】
    友人のYouTuber芸人グッピーこずえちゃん(アウトドアとお酒関連の動画多数)に相談したところ、チタン製のお猪口をすすめられたので、amazonでお手頃価格の品を購入し、前日に無事到着。

  • 【夫のリュック 重量3.9kg】
    やはりお酒2本は重いので、撮影後、浦霞(オレンジラベル)は小分けして私のリュックに入れることに。お酒の瓶が1本減った代わりに、熱燗用の水を水筒に詰めた。

  • 【私のリュック 重量2.7kg】
    写真のグッズ+小分けした浦霞の保冷バッグ。自宅に缶つまがあったのでそれも入れる。水筒のお茶、スマホの充電バッテリーや財布、化粧ポーチなどを入れると、そこそこの重さに。

準備③《お酒》 やっぱり、美味しい熱燗を飲みたい。

苦労して山に登るのだから、山頂では美味しいお酒が飲みたい。というわけで、お気に入りのお酒屋さん2店に、熱燗に合うお酒を選んでもらった。

  • 来楽 純米酒(兵庫県明石市・茨木酒造)
    来楽 純米酒
    (兵庫県明石市・茨木酒造)
  • 特別純米酒 寒おろし 浦霞(宮城県・佐浦醸造)
    特別純米酒 寒おろし 浦霞
    (宮城県・佐浦醸造)

【次のページ】当日編(登山・いざ熱燗)