ひらけ、蔵。座れ、ゴザ。 〜 2019年秋 白鶴酒造「酒蔵開放」

文:やすかわのりこ 写真:大森ちはる

『白鶴酒造 酒蔵開放』当日の朝、阪神住吉駅にカメラマンちはると合流。同じ方向へと歩く人達の背中を見ながら、「行先は一緒かもよ」と冗談交じりに足早で会場に到着すると、嘘は誠になっていた。オープン前から並んでいる人々を目の当たりにし、ともすれば会場にある全ての酒を飲みつくしてやろうという気配をじんわり肌で感じながら無料レンタルゴザの準備を進める。大型バスが続々と駐車場へ吸い込まれ、次第に人で膨れ上がる。プラカードを持ったスタッフの誘導でスタート前の福袋コーナーは黒山の人だかり。「野菜市やお寿司や食べ物も早く行かなきゃ売り切れちゃうんだよ」と聞いてはいたけれど。その熱量に少し怯みつつ、どんな人に出会えるのか「…いざ、出陣」。


来場者さんに聞きました。

酒蔵開放は初耳ワード
(左から)ヤマダさん・ササキさん

「早くから並んだんですか?」。袋には、噂の新鮮な野菜がたっぷり。これは玄人さんだと声を掛けるとあら、びっくり。「日本酒のイベントを探していて、初めて酒蔵開きというのがあると知って参加しました」と言うササキさんと、誘われてやってきたヤマダさん。無料試飲を目当てに入った資料館で、思った以上の内容の濃さや、二度見してしまうほどリアルな人形たちに盛り上がっていたお二人。初めての蔵開き体験は大成功の様子。ある日、日本酒のコスパの悪さを感じチューハイに切替えていたササキさんは、少しずつ日本酒にUターン中!

じっとなんてしてやんないよ
ユアサさんファミリー&トキマサさんファミリー

高校時代の同級生ファミリー。現在は授乳中でお酒は飲めないお二人がなぜ?「旦那さんの付き合い」と声を合わせる仲の良さ。子ども達はたこ焼きを食べながらレンタルゴザをレジャー感覚で楽しんでくれたようですが、食べ終わると芝生の上をあっちへ、こっちへ。ふかふかした足裏の感触が面白かったのかな。両家には和室があり、子ども達の遊び場や寝室として安心できる場所だそう。こけても痛くないこの芝生も親子にとって安全地帯のようでした。次回の来場の際は、以前のようにお酒も楽しんでいただけたらいいな。

これぞ、スタンダードですよ
(左から)タキガワさん・フジワラさん・イノウエさん

どっしりゴザに腰を据え、何を語りながら飲んでいるのか知りたくなり飛び込んでみました。「ここは灘五郷やからどこの蔵にも行くよ、ずっと行ってるわ」。好きなお酒の種類を訊くと「お酒は三種混合。日本酒も好きやけど何でも飲むよ」。続くのは、たわいもない話と陽気な笑い声。大好きだった児童文学「ズッコケ三人組」から飛び出して、そのまま大人になったみたいだな。長年に渡り、蔵開きのたびに集まっては楽しい時間を三人で重ねて、地味なようで花がある空気感が出来上がったのか? 私もそうなりたいなと羨ましくなりました。

二人でも酒飲みサークル
(左から)シゲオさん・アマガツカさん

少し涼しい『搾りたて生原酒(垂れ口)の試飲コーナー』で垂れ口を味わうお二人。後輩がこちらの社員さんなのでよく参加しているそう。「今日の一番は『天空』の有料試飲。これがメチャクチャ美味しかった! お店で飲んだらいくらなのって思います」。お店では頼みづらい銘柄も、ここならお気軽に試せるし満足度も高いかも。普段から日本酒以外にビールのイベントにも足を運ぶお二人。白鶴酒蔵開放には、ビールの出店もあり当然そちらも味わったとか。日本酒に飽きたらビールを飲む。そういう選択肢があるなら、なお一層楽しめそうだ。

熱き血潮だ
大学の漫研サークルの皆さん

「日本酒は飲みやすくて大好きです」意外な言葉に驚くが空瓶が1本転がっている。会場の片隅でマイペースに楽しんでいる様子が見ていて楽しい。酒蔵や工場見学によく行くらしく「蔵ごとに力の入れ具合が違う。白鶴さんは、資料館の造りや内容も本格的で凄く気合が入っているのがわかる」と力説。何とかゲットしたゴザ1枚に6人は窮屈。後列は足湯ならぬ足ゴザに。手前の彼ら二人は「レジャーシートと違って敷物感が強く地面との隔たりを感じる、座れなかっただけに」。と悔しさをばねに熱く語る姿も面白かった。

差し飲みバンザイ
(左から)Sさん・Tさん

「以前は三人で良く来ていたけど一人が転勤になっちゃって」。そんなわけで、男同士、ゴザに座って差しで飲む。芝生は柔らかいけど虫が多いと言われ、御猪口の中を覗くと確かに小さな虫が入っているが、意外に気にしていない様子で飲み進めている。なんとなくアルコールで消毒されました的感覚は、時代劇で植え付けられてきたのだろうか。敷物というとレジャーシート派とゴザ派に分かれたものの、家の中では夏になると、絨毯の上にゴザを敷いて涼を取るというTさん。しかし、絨毯の下は畳だという話になり、晴れ時々突っ込みの嵐となりました。

楽しむコツ教えちゃいます
会社のお酒大好きグループさん

本日一番の大所帯ではなかろうか。賑やかで人目を惹くのは、会社のお酒大好き仲間で中には家族連れの方も。白鶴は今回初ですが、大抵このメンバーで酒蔵めぐりしているので「慣れたもんですよ」。その言葉通り食べ物や飲み物の用意も完璧。蔵開きを楽しむコツを尋ねると、「人数が多いと楽しい」「とにかく行ってみる」「全種類飲んでみて、おいしいのを集中的に飲む」。なるほど、皆さんを見れば納得です。紙すきなど子ども向けのブースもあり、「館内のプロジェクションマッピングの映像が面白かったみたい」とお母さんからイイ情報いただきました。

仲睦まじさ120パーセント
タナカさん・モリモトさん

高知出身の粋なお姉さん方がイベント終盤に登場。なんでも飲むけど日本酒が好きでよく飲むそう。べく盃でさぞかし鍛えられたのでは? 「二人とも高校を卒業して、すぐこっちに出てきたんでそんな事ないですよ。でも…」、どっちが良く飲むかを擦り付け合う姿がとても仲睦まじい。「今日はお酒を飲む会と決めて酒蔵をまわってきて、ここが3軒目です」。なので、結果は引き分けです。まずは駆けつけ一杯中。酒蔵開放とは知らずにふらりと立ちよったそうですが、無料試飲もございますので、本日のテーマにぴったりの場所になることと思います。

『ランナーズあるある』か?
ランナーズ&酒飲みズさん

蔵にランナーなんて全くの予想外。ゴザが返却されるタイミングに合わせて、彼らが駆けてくるのだから気にならずにはいられない。電車に揺られて家からやってくる人が大多数の中、自分の足で走ってきて、走って家に帰る人は極少数派と思うが、これは『ランナーズあるある』なのか。「レジャーシートより厚みがあって座り心地が良いから凄くリラックスできる」。長距離を走る時は直に座ったり、寝たりすることが多いらしく、どれだけ過酷なレースなの?そんな、ランナーさんの為に折りたたんでリュックに入るゴザの商品開発をお願いします。

たまにはのんびりね
H.Iファミリーさん

日頃は、授乳中のママに合わせたお出かけ中心なので、今日は日本酒好きなパパに楽しんでもらおうと、家族で来場。ジャグリングや芝生でゴザの上に寝転んで、空を見るのが大好きなお姉ちゃんと一緒に、ママも久々にゆっくりした時間を過ごせたそう。生後三か月の妹ちゃんもゴザが気に入ったのか、抱っこよりもゴザに転がる方が機嫌も良く、思わぬ収穫を得たお外デビューになりました。「大人が外でのびのびしようと思ったら、お酒が入っている方がリラックスしやすいでしょうね」とママ。本日は、終日こちらでのんびり過ごすそうです。

(次のページ)
地元の畳店さん×DEMOくらし「レンタルござ」>>>

執筆者プロフィール

やすかわのりこ(三木市在住・1973年生まれ)
やすかわのりこ(三木市在住・1973年生まれ)
趣味も特技も特になし。これも、わたしらしさと言おう。笑