スキンケア、いったい何がホントなの? 〜 そこだけ知ろうとすると何もわからないワナ 〜

構成・写真:大森ちはる

スキンケア、諸説ありすぎ説。右往左往する私たち。

DEMOくらし共同発行人の白鶴さん。白鶴酒造資料館に行くと、奥のコーナーにオリジナルブランドのスキンケアシリーズが並んでいるのを目にした。なんで酒蔵が化粧品をつくっているんだろう。「酒は百薬の長」だから? そういえば昔、あの化粧品ブランドがCMで「杜氏の手は美しい」とも言ってたな。

アレがいい。コレが効く。雑誌をめくれば「美容成分○○が高配合」と半期ごとに新製品が発売されていて、新聞広告ではとどまることなく「△△洗顔でお化粧いらず」が派生し続けている。レビューサイトを覗けば、同じ化粧水について「乾燥肌です。コスパ最高です」と「乾燥肌です。可もなく不可もなくです」と「乾燥肌です。まったく潤いを感じられません」が同居していることも。

スキンケア、いったい何がホントなの? 白鶴酒造化粧品担当の垣内さんを、DEMOくらしメンバーで囲んだ。

【教えてくれたひと】
白鶴酒造株式会社 
垣内稚子(かきうち わかこ)さん
白鶴酒造に新卒入社して長く人事畑を歩み続けてきたところで、2016年に化粧品事業部(当時)に異動。配属を機に皮膚や化粧品、日本酒と美容の関係を勉強しはじめ、日本化粧品検定1級(コスメコンシェルジュ)、JPMパーソナルメイクアドバイザー講師等の資格を取得。自身が悩んでいた乾燥肌が解消していくさまに「自分の本来の肌に戻っていく」感覚をおぼえる。


いきなりド正論。「極論を言うと、化粧品って使わなくてもいいもの」(白鶴酒造 垣内さん)

頑丈肌・大森: 今日は肌や美容と日本酒のカンケイ……がテーマではあるのですが、そもそも私、スキンケアのことがよくわからないんです。自分の肌が特段トラブルなく三十余年きたので、化粧品ものんべんだらりと選んできた人生で。巷にあふれる諸説に「興味ないわ」とうそぶく一方で、垣内さんのキメ細かい肌を目の前にしたらうっとりするし、「どうすればその肌が!」とあわよくば自分もなりたいと思う欲深さが、いまメラメラと。

垣内(敬称略): 極論をいうと、化粧品というのは使わなくてもいいものなんですよ。からだの内側がしっかり機能していて、キメが整って、ターンオーバー(肌の新陳代謝)とかも順調に巡っていれば、つける必要がない。でも、そうもいかないじゃないですか。生活習慣が乱れたり、食事や睡眠が乱れたり。そんなときに助けてくれるのが化粧品であり、化粧品を使って施すスキンケアなんです。

コスメ好き・内海: 逆に言えば、化粧品だけではキレイになれない?

垣内: そうです。化粧品で外から補給していくだけじゃなくて、基本的には、食事や睡眠、運動などを含めてからだの内側からも整えていかないと。私自身、以前は極度の乾燥肌で病院にかかっていたこともあるので、本当にそれは身をもって実感しています。

マクロビ・宮本: 日本酒は百薬の長っていわれますよね。「内側からの美容」にも効くんですか?

垣内: 日本酒は飲んでもよし、塗ってもよしです。もちろん飲酒は適量の範囲でね。日本酒にはアミノ酸が豊富に含まれています。アミノ酸はそれ自体も保湿成分なんですが、コラーゲンやヒアルロン酸を構成するものでもあります。アミノ酸だけで肌がキレイになるわけではありませんが、酒蔵が化粧品を手がける理由のひとつが、日本酒にアミノ酸が豊富だということは確実だと思います。

自然派・石塚: いわゆる「杜氏の手は白くて美しい」というのも、そういう所以なんですね。

垣内: お酒づくりには「麹造り」といって、蒸した米に麹菌を繁殖させる工程があります。その麹菌にも、保湿作用や美白作用が期待できるんですよ。

「だから、何はともあれ保湿っていうのか」(編集部 宮本)

コスメ好き・内海: あれ? でも、伴さん(*1)って色白ではなかったような……

(*1)白鶴酒造の杜氏・伴光博さん。DEMOくらしのコンテンツ「日本酒って、私にも楽しめますか?」 「3人の職人さんに教えてもらう、日本の夏の味わいかた。」にも登場くださっています。

垣内: 以前、宣伝関係の企画で伴の手を撮影したときに、本人も「俺、地黒だから。白くないから。でも、ふっくらしてるやろ?」って言っていました。じつは、美白というのは、シミやそばかすを予防することなんです。メラニン色素の生成を抑えるのが美白成分。美白というと「白く美しく」っていうイメージがあると思うんですが、化粧品で自分のもともとの肌より色白になることはありません。もともとの肌以上に白くなるのは「漂白」で、怖いことだと思います。

自然派・石塚: シミやそばかすって、日焼け止めで予防するだけじゃないんですね。

垣内: 日焼け止めは、メラニン生成の原因となる紫外線を肌の表面でブロックするもの。美白成分は、角質層に入ってメラニンの生成を抑えます。日焼けでヒリヒリした肌って、炎症しているのと同時に、乾燥もしています。乾燥していると肌の新陳代謝(ターンオーバー)の周期が崩れて、周期が遅れれば、排出されるはずの過剰なメラニンもどんどん蓄積されていってしまう。

マクロビ・宮本: だから、何はともあれ保湿っていうんだ!

垣内: そうなんです。でも化粧水を大量に、バシャバシャつけるだけではダメ。水溶性の化粧水は、すぐに蒸発が始まります。だから、クリームか乳液で「蓋」をしましょう、というのがスキンケアではよく言われます。

頑丈肌・大森: 我が肌に潤いを……いますぐ保湿したくなってきました。つい溜め込んじゃってるお土産でもらったシートマスク、今夜使います。

垣内: ぜひぜひ。シートマスクのあと、「これで充分もっちりしたわ」って満足して終わっている人が多いですが、たっぷり保湿したときほど、「蓋」もしっかりした方がいいですよ。せっかくいい成分を角質層に届けても蒸発しちゃったら意味がないので。ここ最近のシートマスクの流行で試された結果「あんまり効果なかったわ」って方もときどきいらっしゃいますが、よく聞くとみなさん「放置してます」っておっしゃるので。

コスメ好き・内海: レビューサイトの口コミのばらつきって、そういう要因もあるんだ。

垣内: 「そのスキンケアの方法、間違ってますよ!」と思う口コミもあります。でも、なかなかお伝えできる機会がなくてね。

「いいの? わるいの? 二元的に掬おうとするから、右往左往するのかも」(編集部 大森)

マクロビ・宮本: 化粧水をつけるときのコツってありますか? コットンがいいのか手なのか、美容家さんのあいだでもまだ決着がついてないように思うんですけど。

垣内: 化粧水は、だいたい頬がひんやり冷たくなったなっていうのが目安かな。もし触ってみて冷たくなかったら、もう一度化粧水を足すとでいいですね。コットンか手か……これは諸説全般に言えることなんですが、どんな説にもメリット・デメリットがあるんですよ。例えば、コットンは、手の凸凹では行き届かないところまで顔全体に行き渡らせることができる。でも、コットンに化粧水をじゅうぶん含ませれていないと、肌を擦って負担をかけるし、コットンが肌の水分を吸い上げてしまうことも。そのあたりが手だと、体温で化粧水を浸透させやすいし、コットンほど量がいらない。刺激が少ない。私は両方使い分けています。朝はコットンで、夜は手。朝は仕事に向けて気合い入れるんです。気合いを入れるときは自分の中ではコットンって決めてます。夜は癒し系。

頑丈肌・大森: なるほど。こういうお話に雑誌やネットで情報として接すると、つい「で、結局いいの? わるいの?」と二元的に結論ぽいところだけ掬いとっちゃうんですけど、それが結果、右往左往につながってる気がします。

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お酒も化粧品も「からだに摂る」ということでは同じだから。 >>>