おなじ米、ちがう蔵。きっと出会える味がある ~白鶴錦 蔵元の集い2019~

文:いしづかたかこ
写真:桂知秋

今まで、その時その時、食べたいものを選ぶようにわからないなりの感性で選んできた。
なんとなく選んで、その日の料理や体の調子、気候、気分に合って初めて『おいしい』と感じているだけかもしれない。

『今日は何を飲もう?』
なんとなく「純米」が好きで、気が付けばいつも純米酒を飲んでいる。
正直、酒の違いなんてわからない。米の味の違いさえ分かっていないと思う。

そんな私だけど、白鶴錦の集い」で、白鶴錦にかける蔵人たちの想いに触れ、白鶴錦でできたお酒を飲むことで、『なんとなく』の先が見えたような気がした。

白鶴錦 蔵元の集い
「日本酒の業界を、ひいては日本酒の「未来」を輝かしいものにしていきたい」という強い意思のもと、白鶴酒造により開発された山田錦の兄弟米「白鶴錦」を用いた日本酒を日本各地の蔵元がそれぞれの蔵で製造している。
2018年夏、各地の蔵元が一堂に会し、第一回目となる白鶴錦に関する意見交換会をおこなった。2019年秋は、二回目の意見交換会に加え、農地視察もおこなった。
2018年白鶴錦に関する意見交換会より抜粋)

酒米から革命を起こす!?

<写真右から白鶴錦、山田錦(兄)、山田穂(母)、渡舟(父)、兵庫夢錦、日本晴>

酒造りに使われるお米(酒米)の中でも、「山田錦」は最高峰とされ、3割強のシェアを占めているそう。(農林水産省データより)
100種類以上もある酒米の中でも、若造の「白鶴錦」。
酒米の安定供給を目指して農業改革も視野に入れて、酒造りのベースである米作りから実験的な取り組みが進められている。

シャープなお酒を目指す澄川酒造(東洋美人)さんは「山田錦でできたお酒があるからこそ白鶴錦らしいお酒が造れる。比較対象がないとモノづくりはできない」と、これまで培ってきた技術、実績があるからこそまだまだ発展できると志を高く持たれている。
また、相原酒造(雨後の月)さんは、「いいお酒がたくさん造れれば、農家さんにももっと米を作っていただける仕組みができるんじゃないか」と、製造・販売、その前や先まで見通した、蔵だけではない、酒造りに関連する全体を盛り上げようとする動きに期待を寄せている。


なぜ白鶴錦だとさらなる発展を目指すことができるのか?

白鶴の杜氏・伴さん曰く「白鶴錦はホワイトキャンバス
“水・人・米・麹菌・酵母・醸造方法”…どれかひとつが違っても味が変わる。その味の違いが、出やすいお米が白鶴錦で、造り手が狙ったままの味が出るのだそう。
白鶴錦は、山田錦の良いところを引き継ぎつつ、白鶴錦独自の純粋な味を引き出せる強みを持っているのだという。

一呑は百聞に如かず「うちの蔵らしいお酒」。日本酒ジャーニーが始まる予感

話を聞いたものの、頭でわかったような気がしているだけで、理解しきれていない一消費者。
一呑は百聞に如かず。ここは、やはり飲んでみるのが一番。お待ちかねの試飲タイムがきた!

スポイトで少量を注ぎ、香り、色、味を確認していく蔵人の姿を見よう見まねで試してみる。

新澤醸造店(愛宕の松)さんが利き酒のコツを教えてくれた。
「7割が鼻で、3割が舌です。酔ってしまっては味がわかりませんからね。」
確かに!味以上にそれぞれがとても香り豊かだ。

甘いもの、深いもの、渋いもの、辛いもの、清々しく透き通ったもの・・・
日本酒ってこんなにも味が違うの!?同じお米からできているとは思えないほど、どれも全く別物。

『どれも似たり寄ったり、永久に日本酒ジプシーだわ』と半ば諦めていた頭の中を何かがさーっと駆け抜けた気がした。
同じ米なのに全く別のものになるなんて不思議。これが蔵らしさというものなんだろうか。

もっと日本酒を知りたい。楽しみたい。
味の違いを知れば、きっと自分好みの味にも出会えるはずだから。

執筆者プロフィール

いしづかたかこ(明石市在住)
いしづかたかこ(明石市在住)
海とクジラに恋する3児の母。昔ながらのおばあちゃんライフに憧れている。