文:藤原 由来
白鶴酒造資料館にて「米・水・人の酒造り教室 第3回」に参加しました。今回は「お酒造りの話」「本店三号工場見学」「できたての甘酒体験」という、盛りだくさんな内容。
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開始していきなり、講師の大岡さん(白鶴酒造株式会社) は「米麹(こめこうじ)」と「おかゆの入った保温ポット」を取り出し、米麹を保温ポットに混ぜ始めました。
「えっ、それだけで甘酒つくれるの!?」
重要なのは温度。甘酒は麹菌がつくってくれるので、麹菌が死んでしまわないようにするのが大切とのことです。
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大岡さんによる「お酒造りの話」が始まりました。
良いお酒が造れる条件は「米」「水」「人(職人)」「地」。神戸の灘でいわゆる「灘五郷」とよばれる酒どころができたのは、この4つが揃っていたからです。
しかし実際にお酒を作るのは職人ではなく、微生物である「麹菌」と「酵母菌」だと大岡さんは強調します。職人の仕事は、麹菌と酵母菌がうまく働けるように環境調節すること。
微生物が「発酵」という仕事をすることで、お米と水はお酒に生まれ変わります。素材にはない「うまみ」「香り」を引き立てるのも、保存性・栄養価を高めるのも、微生物のおかげです。
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日本酒が面白いのは
・デンプンがブドウ糖になる「糖化」
・ブドウ糖がアルコールになる「発酵」
この2つが、1つのタンクの中で同時に行われることです。この複雑なはたらきで、日本酒独特の味わいが出るのです。
ちなみに、最初の「糖化」だけをしたのが、最初に出てきた甘酒です。(ふりだしに戻ってきました!)
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ここからは本店三号工場の見学です。
印象深いのは、入口入ってすぐの場所にある神棚と、天井からぶらさがっている謎の玉。(「杉玉」というそうです)
現在の酒造は近代的な工場ですが、魂としては昔の杜氏・蔵人を引き継いでいるのですね。
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工場では「酒母室」「発酵室」「圧搾室」などの部屋を見学いたしました。
たとえば「発酵室」のタンクは、UFOっぽい見た目。
発酵で出た二酸化炭素がタンクに溜まるため、タンク内は酸素濃度が近く危険です。その安全対策で、フタを小さくして、落ちにくい仕組みとのことです。
この他にも工場では、働く人への様々な工夫を見ることができました。
昔から続く「職人の魂」と、人にやさしい「近代的な工場」。この2つが合わさった三号工場は、ただの工場ではない不思議な雰囲気がありました。
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工場見学が終わり、最後に例の「できたて甘酒」をお弁当と一緒にいただきました。
そのお味は……あれっ、おかゆ!?(大岡さんいわく、時間が少なかったとのこと)
とはいえ、じっくり味わってみると、ほんのり甘くやさしい味で美味しかったです。食べ物をこんなに味わうこともなかったので、貴重な体験でした。
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以上、「米・水・人の酒造り教室 第3回」のレビューでした。
お土産に米麹ももらったので、我が家で作ってみようと思います。(まずは保温ポットと温度計を買わなきゃ……)
主催:白鶴酒造株式会社
企画運営:一般社団法人リベルタ学舎
【ご協力いただいた皆さま】
お弁当(おとな用・こども用):野菜とごはん*fika http://www.organic-fika.com/
白鶴御影校 「米・水・人のお酒造り教室」
おとなもこどもも一緒に楽しみながら米づくりから酒造りまでを体験・見学する、夏・秋・冬の年3回のプログラム。
田植え・稲刈り・お酒造りの歴史や時代を経て育まれた力を、背景にある人々の想いに触れながら、学びます。
・ご案内ページ:リベルタ学舎HP
・第1回「春 田植え」レビュー:土を耕し、泥をかき混ぜ、苗植えた
・第2回「秋 稲刈り」レビュー:お部屋の中でも稲刈りできちゃう!?