野燗炉にお願い!vol.00

野燗炉が編集部にやってきた。

文:やすかわのりこ

皆様いかがお過ごしでしょうか?DEMOくらし編集部では、これからやってくる燗酒のおいしい季節に向けてシリーズ企画を始動します。
テーマは、「距離」です。

今回、私たちに協力して下さるのは、平安時代に誕生していたとされ、時代の変化により一度は姿を消した野燗炉(燗銅壺などとも呼ばれる)を現代に復活させた「野燗炉(JIPANG WORKS)。そして、DEMOくらし編集部にとことん寄り添い続けてくれている、日本一の酒処・灘五郷で伝統と革新を続ける「株式会社白鶴酒造。「野燗炉」に「人・場所・食」の要素から選ばれた「日本酒」を自由に掛け合わせることで、私たちのくらしの中に何かしら存在する「距離」の変化を一緒に見届けていただきたいと思うのです。

心の隅をコチョコチョコくすぐる

「野燗炉とは、初耳です」という方に簡単に説明しますと。その名の通り、野外への持ち運びが可能で、炭火でチロリや徳利を温めながら、同時に酒の肴を焼いたり炙ったりできる道具。もちろん、室内でも使用可能という、人間の心の隅をコチョコチョコくすぐる道具がそんな昔々にありました。江戸時代の浮世絵の中で生き生きと描かれた、花見の席で野燗炉を楽しむ人々の敷物、着物、髪飾りなどから、当時は高価な品だった事が伺えます。時の流れとともに一般家庭でも楽しめる道具として昭和初期まで愛用されましたが、便利な電化製品の普及とともに姿を消しました。そして、再びこの世に復活。余談ですが「家の物置に置いてある、これって野燗炉?」という事もあるようです(使えるかどうかは不明)。

おやおや、どうやらお待ちかねのお品が届いたようです。

【入っていたもの】
・野燗炉本体
・持ち手(カバー竹付き)
・炭台座
・五徳
・炭
・固形燃料
・トング
・温度計
・チロリ(錫)
・焼き網
・釜一合炊き(木蓋・台座付き)
・田舎鍋(木蓋付き)


手に取ると、予想以上にずっしり。これなら使用中に、そう簡単にひっくり返すこともなさそう。ツールは基本的にシンプル。「念のためみんなでセットしてみようか」と軽く考えておりましたが、これがDEMOくらし編集部員の手にかかると、何故か簡単にいかない。使い方は、野燗炉ホームページや動画でもわかりやすく紹介されており、それを見ながらやっているはずなのに…。これはもう、JIPANGWORKSの福岡さんに聞くしかない。その際の言葉と写真のやり取りを紹介いたします。

「釜と鍋がすっぽり入らない」~の巻

まず、炭台座を入れて。炭入れて、五徳をはめて、アレ?
釜のおしりが納まらない。炭を割る?そうして、無理やり割った炭を並べ再び釜を装着。それでも入らないので、炭は割る必要はないとその場で証明された。(火をつける際は、炭を3cm角の大きさに割った方が火が付きやすいそうです)

安川:いつもお世話になっております。(建物の管理上)火は使えないので、それ以外のセッティングをやっているのですが、釜と鍋の使い方がわかりません。炭の置き方が間違っているのでしょうか?

福岡さん:五徳が逆です。

なるほど!五徳をよ~く見てみると、入れ方によって上下の高さが変わる。釜のお尻はすっぽり納まった。

福岡さん:鍋は網を置いて、その上に置きます。

安川:こういうことですか?

福岡さん:です!火力が必要な場合は五徳を低くします。

安川:こういうことですね(五徳を外してみました)。

福岡さん:違います。

福岡さん:正解

安川:おお!ほかに注意点などありますか?鍋や釜は、直火禁止ってことですね。

福岡さん:釜は直火で大丈夫ですよ!釜は五徳を高くして、網なしですっぽり入ります。

安川:あくまでも五徳は必ず使用して、火加減は五徳の高さを変える。

福岡さん:そうです!後は好きなように、ままごとのように遊ぶだけ。僕もまだ勉強中です!

なるほど!一度は姿を消したものを現代に復活させたんですものね。

安川:私達も存分に楽しみます。ありがとうございました!

福岡さん:いえ!

「一度やってみて本当に良かったね。これ一人だったら大変だったねー!」

なんて言いながら、今こうしてみると恥ずかしさが溢れ。本当にみんなと一緒でよかったと。それに、さっそく距離がちぢまったな。…なんつってね。

それでは、皆様。

【野燗炉×白鶴酒造×DEMOくらし編集部が贈る新シリーズ企画】
『野燗炉にお願い!』をどうぞよろしくお願いいたします。


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