台所とピンクの瓶の日本酒

文:岩田かなみ  画像制作:福島由衣

夜ご飯の準備もひと段落した夕暮れの薄暗い台所。

「ねぇ、かわいいの買ってきたの」
とお義母さんが、冷蔵庫から桃色の瓶を取り出して、ごそごそと酒器を準備をしてくれた。

「先に始めちゃおうよ」
2人分注いで、くいっとお猪口を持ち上げる。


「カンパイ」


お義父さんと旦那が外で作業をしている間に訪れたお義母さんとの2人きりの時間。

「甘~い。飲みやすい」
「サイダーみたい」

お義母さんが選んでくれたスパークリングの日本酒は、シュワシュワしてまだちょっとドキドキする緊張感を解してくれて、ガールズトークにぴったりだ。

お義父さんは下戸で、長年続いた介護もあり、ゆっくりと1人で晩酌を嗜むことはできなかったらしい。
遺伝なのか旦那も飲めないので、私も家で飲むことはほどんどない。

「美味しい。どんどん進んじゃうね」
「夜ご飯までに空いちゃいますね」

育ったお家のこと、畑のこと、熱燗が苦手なこと、初めて聞く話しばかり。
特に旦那が片付け魔で困っていることについては2人とも共感の嵐だった。
365日休みのない農家のお義父さんとお義母さんは連休中もずっと忙しそうだった。


「またゆっくり来てね」
「はい」

と、旦那の話をしている途中で、お母さんと呼ぶ声がして外に出られた。

”事実婚のこと、私たちのことどう思ってるんだろうか…”

きっとこの続きは、次のガールズトークの時に。
次は私が乾杯用のお酒を手土産にしよう。

執筆者プロフィール

岩田 かなみ
岩田 かなみ
ゆとり世代の年下男子と事実婚。りらっくまになりたいと思いながら生き急ぐ多動性。自分の人生も編集できるようになれたらいいな。