文:やすかわのりこ
白鶴酒造の「おかげ返し」
白鶴酒造は考えた。お酒造りに大切なものは、米・水・人。良い酒造りを続けてこられたのはここが灘五郷だったから。国内シェアNo.1の酒造会社でいられるのは、地域の皆様のおかげだから。
だったら「おかげ返しをしよう!」
白鶴酒造が地域で活動する皆さんの夢を応援する新プロジェクト【みんなの白鶴御影校】。4月10日のイベントオーディションには、14団体が「やってみたい!」を携えて集まった。聞かせてよ、みんなの夢!
生前整理アドバイザーと整理収納アドバイザーの資格を持つ《lotus root》
やり残しのない人生のための提案
「生前整理」安直にご高齢の方に向けたものと思っていたけど、最高のエンディングに必要なのは日々を大切に重ねること。それに気付けば馬の耳に念仏にはならない。「モノ・心・情報」自分に必要なものだけを残して身軽なれば人生は上々だ。
パパ・ママの音楽集団《さくらムジカオーケストラ》
切実な問題解決案、可愛くもたくましい企て
皆が好きな曲をクラシック楽器で生演奏。楽器を手に再びステージに舞い戻ったパパ・ママ音楽集団。畳の上で生演奏と甘酒を心ゆくまで楽しむ企画。お酒が飲めない人(授乳期ママ&日本酒に馴染のないちびっ子含め)に甘酒を振舞うことで、日本酒の未来予想図も変わるかも。発表者の肩にかかる抱っこ紐の中にはキラキラの未来が静かに耳を傾けていた、畳があれば眠くなっても安心だね。子育て世代、楽しみの質あきらめない春。
児童館やデイサービスで紙芝居を披露する《百万本の薔薇の会》
昔ながらの紙芝居を
「カン、カン、カン、カン!」懐かしい拍子の音。児童館やデイサービスで紙芝居を披露する等の活動中に感動で涙を流す人の姿を目にした時、それが自分達のやりがいに繋がっていくと語る。デジタルが当たり前のこの時代に「心に響くから」とあえてアナログという選択なのだ。会場の温度が上がってきた、ここなら百万本の薔薇の花を描かずに買ったペインターも元気を取り戻せるかも。
歌うヨガ・キルタン《チームわに》
声と声が交じり合い造り上げ共有する調和
普段は、バックグラウンドも様々な20代~40代の男女で活動している。アコーディオンに似た楽器と声だけ、声と声が交じり合い調和していく、酒蔵も色を変えた。世界中に愛と平和なんて私には大きすぎるけど、願い歌うのは選択の自由、響かせ合い、分け合う。幸せは歩いてこないならローカーサマーサースキノーババントゥー♪ 不思議な旋律にいざなわれよう。
地域の歴史や文化を遊びながら学ぶ《双六読書会・小さな靴あと》
ほんの、わたくし事ですが
西宮・阪神間で主に活動、また熊本震災後復興支援として熊本の小学校でワークショップも開催。地元の歴史や文化って、いざ説明するとなると言えない。学ぶきっかけがなかった。ここでは地域の歴史や文化を遊びながら学べる双六で「学びの楽しい入口」を作っている。ルールは至って簡単、孫からお年寄りまで、その日のサイコロの目が勝負を決める。BGMは「仁義なき戦いのテーマ」でお願いしたいな。
お喋りしてたら意気投合して今回タッグを組んだ《名前はまだない》
やっぱすっきゃねん
男子大学生二人組。おちゃらけ通すと思いきや切り替えの早い二人。一人は、日本酒の楽しみ方を「日本酒=かわいい」で発信し、同世代に美味しさを伝えたいと語り。相方は少子高齢化で跡継ぎがみつからない農家の現状を知り、日々の当たり前を見直した。日本酒を介して消費者と生産者が互いに気づきを得ることで、従来よりパワーアップした関係づくりを目指したいと語った。最後に「再考×再興=最高!」と関西の大学生として立派にオチをつけたのであった。
第26回コープこうべ「虹の賞」受賞《みや部》
イベント活動3年目「まちのちゃぶ台」衝撃の告白
性別・年齢・環境・国籍問わず、孤食を回避したい人が集まり、低コストで健康的な食事をみんなで食べる。つよがりや冷蔵庫で手つかずの食材なんかを持ち寄って、各自一品料理を披露し教えあう、この一見面倒に思えるルールが互いに通じ合い、感謝に出会う味噌になり、心がほぐれる時間へと変化する。「まちのちゃぶ台」と言いながら実情が「まちのダイニングテーブル」だったことを明かしてくれました。
エッセイを中心とした、神戸の文芸投稿誌《ティタイム編集部》
仲間と喜びを増幅する場に
神戸市でエッセイを中心とした文芸投稿誌「Teatime」(ティタイム)を隔月発行。文章を読んだり書いたりすることが好きな本作りの仲間と、これから参加してみたいという未来の仲間が「紙に載せることによって伝わる楽しみ」を共有すべく交流の場に、大人のための食に関するブックトークを投入。薬膳料理の先生による日本酒を絡めたトークは集まった人々にパワーを与える!
筆ペンで笑顔を表現する《一般社団法人 笑い文字普及協会》
ありがとう ? 回/1日
現在300名の講師が筆ペンで笑顔を表現した笑文字を日々伝えている。さて「ありがとう」を言えない毎日はどんなもの?「生まれた時から亡くなる時まで使う言葉」私が生まれた日はきっと両親が言ってくれた。発した人から満たされてゆく「ありがとう」って言葉を消えないようにその思い、そのまま形に留めて手渡す。感謝と喜びが循環する、この素晴らしき世界。今より10倍「ありがとう」と言う生活は、ほろ酔いくらいが丁度いい。
豊かな食卓と、家族の幸せを目指す《おうちdeタベルノマイスター》
食べる前に選ぶこと
ママが食を知ることで豊かな食卓と家族の健康、幸せを目指す。選ぶがメインテーマの「野菜ドネーション制・気まぐれライブキッチン」食べるところばかりがフォーカスされがちの食フェスで感じた違和感から生まれた夢だ。野菜の購入から調理法まで、自分で選ぶことができる。ライブでご機嫌なムードの中、丁寧に育てた野菜に込められた作り手の愛情をそのまま丸かじりすれば体中の細胞が踊りだしそうだ。
子どもから大人まで、魚のさばき方を伝える《西日本さかなのさばき方研究所》
素晴らしい日々
手作りのお刺身と美味しい日本酒で愛する人にありがとうを伝え、美味しい魚と日本酒で兵庫県もアピール。魚をさばくことが愛情活動に繋がり、ちょっぴり経済活動を考える、徐々に人生を楽しむ術になり再び愛へ。「美味しかった、ご馳走様」喜ばれると、また喜ばせたくなる。魚好きが、気付いた日々の小さな幸せを追い求めたらハッピーな循環を釣り上げた。天晴!
神戸にスウィングダンスを広める《Kobe Swing Kids》
日本人はシャイだから踊れない?……わけない!
ロジャー氏によって2018年1月より幅広い年齢の国際的なメンバーで定期的な初心者向けレッスンやイベントでのパフォーマンス、国際学校でのレッスンなどで活動中。「日本人はシャイだからスウィングなんて踊れないわ」そんな心配することなかれ。日本に盆踊りという文化があることをお忘れか? なんてね。経験の無い方も参加できるようにレッスンがある。日本酒を飲んでリラックスしたらダンスだけじゃなく会話も楽しもう! 私たちは日本人であり動物でもあるのだから。
女性のための、つながるイベントをつくる《Smile more’s》
身も心も「あったまるシェ」
小さな町の大きな青い空の真下で、地域に住む外国人の人口が急速に増えているのをなんとなく肌で感じる。国籍、性別、年齢、障害、枠組みを超えたつながりを求める声が増えている。今回はそんなすべての枠組みを超えて、とにかく自分の熱い想いで誰かをあたためたい、あたたまりたい人が集まるマルシェ。まさに熱燗に持ってこいのプロジェクトだ。
尼崎市民と、県外の尼崎ファンが結成《尼崎城盛り上げ隊》
地元を元気にしたい気持ち
尼崎城とその周辺地域を盛り上げたい! 視点を変えて新たな価値を見出そうと動いている人たちがいる。現在の取り組みはまだない…今はね。地元を元気にしたい気持ちは少なくとも皆の共通項で、その存在は心強い。国際色が豊かになった今日この頃、外国人観光客を対象に考えられた企画も多い。尼崎城の築城日を祝って外国人と日本酒を酌み交わすなんて、エキゾチックジャパン!!!
選ばれたのは、「オーケストラ」「若者」「スウィングダンス」
結果発表のたびに歓声が上がった。誰が選ばれてもこの声援は変わらない気がする。選ばれたのはこの3組だ。
エントリーNo.2 《さくらムジカオーケストラ》
0歳から大人まで特に子育て中の方は特に外に出る、生演奏を聴く機会は少なく、子連れでも気負わずゆったり楽しみたいという部分に共感を得た。幼少期から甘酒を飲むことで、将来に向けて日本酒に馴染みのある記憶をつくっておくという発想は弾けてた! デッカイ笑顔の日になるぞ。
エントリーNo.6 《名前はまだない》
あまり知られていないけれど、白鶴酒造では、2015年から農業法人「白鶴ファーム」を立ち上げ、高齢化で農業を辞めた方々の農地をお借りして毎年勉強しながら米作りをしている。高齢化による農地放棄の抑制、安定した米の確保、そして酒造りの繁忙期の冬に、人手不足のため季節従業員として雇っている方々に、夏でも働ける場を作りたい思いがある。若い世代で日本酒に苦手意識がある方にも、お酒の魅力を伝えていただこう。社会の問題を楽しい形で広く知ってもらえるといいな。
エントリーNo.12 《Kobe Swing Kids》
一見、海外のスウィングと日本酒にギャップを感じるけれど、昨年の白鶴酒造資料館の来館者数14万人中約3割を外国人が占めていたそうで、実際この日も外国からのお客様をたくさんお見かけした。これからも、海外からだけでなく地域に住む外国人の方々にも、もっと日本文化や伝統産業を知っていただきたい。そのきっかけに軽快なスィングで盛り上げていただきましょう!
オーディションは、まるでエンターテイメントショウのようだった。選ばれた方々も、そうじゃなった方々も、このご縁が続きますように。恋しくなったら会いに来てね。季節は春、ようこそ「みんなの白鶴御影校」へ!
いまや海外にもSAKEとして認知されつつある日本食文化・日本酒。現在、日本酒シェアNo.1の白鶴酒造は、1743年、江戸幕府第8代将軍吉宗の時代に創業してからずっと、日本一の酒処・灘五郷の地で「時をこえ 親しみの心をおくる」お酒造りを続けてきました。
《みんなの白鶴御影校》は、白鶴酒造が大切にしてきた酒蔵と日本酒を、地域で活動する皆さんに開放して活用いただくプロジェクトです。
・オーディションご案内ページ:「酒蔵を、無料でイベントスペースに使えます!」
・「みんなの白鶴御影校」イベント目次:「お酒をおともに、食べて出会って、踊って、聴いて」