文:やすかわのりこ 写真:柏美香
Shared Rice Culture!! 「じつはお米を食べる国」の料理&伝統芸能を囲んで。
1)韓国伝統芸能打楽サムルノリ奏者のパクさん。飾らない笑顔と気さくな人柄が印象的。 2〜3)観客に紛れ咲乱れるフラメンコダンサー。情熱的なリズムがギタリスト中西さんの指から溢れ出す。 4)ペルーの伝統舞踏マリネラの日本代表を経験したメンドーサさんは可愛らしさと気品を兼ね備えた人。 5〜7)まるで友人のように見えるワンショット。これがこのパーティの醍醐味だ。8)にごり酒(さゆり)やスパークリング日本酒(淡雪スパークリング)の人気が高かった。 9)アメリカ南部の国民食『ガンボ』。
飛び越えろ。それが駄目なら、酒頼み。
今年、兵庫県は県政150周年。県の誕生と同じ1868年に開港した神戸は、海外文化が交じり合う拠点として国際色の豊かな街。その一方で日本一の酒どころ灘五郷では、江戸時代からの伝統を今も受け継ぎ、酒造りをなりわいとしている。時を同じく創立から150年、65カ国を擁する関西領事団と白鶴御影校のコラボレーション。日本人と切っても切れない深い縁、コメを軸に世界で米を食べる国々との多文化交流ベントを開催。
これまで数々の日本酒とのタッグマッチやマリアージュを試みてきた白鶴御影校。今回のお相手は世界30か国を旅した本山尚義シェフの世界のごちそうシリーズより「ガンボ(アメリカ南部)」を含む3種を共通点の「ライス」に絡めていただく。エスニックな香りが立ち込める会場では、常識を覆す目覚めを体感。
異文化を知る方法は、食に限らず、音楽や踊り、そしてコミュニケーション。とにかく人と話すのが楽しい。もちろん勇気は必要だけど、それを乗り越えて、見知らぬ国の、見知らぬ人と。もし交わしたのが、たった一言だったとしても、これから先の人生にどれだけのスパイスを効かせることだろうか。ALTのアンワーさんは、今年の3月から日本酒を飲み始めた。少しドライだけど純米酒も好きだと話してくれた。彼も隣の垣根を飛び越えた一人だと私は思う。パフォーマンスの見知らぬ楽器の音色や形、ダンスの振り付けや衣装。時を経て美しい衣装に変化しているペルー舞踊マリネラ。刃の様に鋭く情熱的なフラメンコギターに応え、踊る少女たちが刻むリズム。田植えにはサムルノリのリズムに合わせ、稲を植えたという。もしかして、杜氏が歌う酒作り唄は、蔵人の体になりわいの道案内として染み込んでいたのかもしれない。床を伝い波のように寄せては返す振動の粒が、体の奥底にあるエネルギーを奮わせた。足で大地を踏み鳴らす、あの頃の人類に乾杯。
江戸幕府第8代将軍吉宗の時代からずっと日本一の酒処・灘五郷の地でお酒造りを続けてきた白鶴酒造と、いまや海外でもSAKEとして認知されつつある日本酒。“お米”をきっかけに日本酒と各国のお米料理、日本と各国の文化は、いっそう身近になれるのではないか……と考え、今回、関西にある65もの領事館を組織する関西領事団とタッグを組みました。
・イベントご案内ページ:「お米は日本だけのものじゃない。Shared Rice Culture!」